縮小の朝カフェ

 コロナのせいで土曜日の「朝カフェ」が縮小版になりました。

 浦河ひがし町診療所のグループホーム「すみれⅢ」の、人気の朝カフェです。
 もともとは土曜日、20人近くがやってくるはずでした。でもコロナ下に大勢で集まるのは自粛しようと、今回は非公式、少人数での開催となりました。参加したのはグループホームの住人と、泉祐志ワーカーや調理担当のメンバーなど若干名です。

グループホーム「すみれⅢ」

 グループホームの近くに住む、精神科医の川村敏明先生もやってきました。もう朝食はすんでいて、パンといれたてのコーヒーだけ楽しんでいます。本来なら休みの日でのんびりできるはずが、きょうは診療所で地域住民へのコロナ・ワクチン接種を進めなければなりません。15分ほどであわただしく出てゆきました。
 忙しくても川村先生がここに寄るのは、楽しいからでしょう。ここで、この人たちと、こういう時間を過ごす、厚みのあるゴージャスさが。

 ゴージャスさは、見た目ではっきりしています。
 この日の朝食はパンと目玉焼き、ウィンナーにサラダ。焼いたズッキーニもあります。しかもパンは「ぱんぱかぱん」で、またウィンナーは「マイク・ソーセージ」で買ったもの。いずれも浦河の、いや北海道の最高級品。それを、やはりグループホームとしては最高級、レストランみたいに快適なすみれⅢのダイニングで楽しむのだから、ひがし町診療所の人たちはこれ以上はないぜいたくを楽しんでいることになります。

 けれどほんとのゴージャスさは目に見えないところにあります。
 グループホームすみれⅢの住人は、統合失調症系の、けっして軽くはない症状を抱えた人たちです。その住居がまがりなりにも運営され、カフェや食事会が人びとを引きつけるということ。周囲にいる人たちが、そこに行きたい、立ち寄りたいと思うこと。

 そこにはワーカーや世話人のくふうと、「おもしろがり」があるのだろうとぼくは見ています。彼らとかかわることを重荷とするのではなく、そのかかわり方を考え、くふうする、そうすることでかかわりそのものが変わってゆく、相手も自分も変わることができる。それを苦痛ではなくおもしろさとして捉える意識が、濃淡はあってもスタッフやメンバーには共有されている。
 もちろん、うまくいかないことの方が多いけれど。

 そうしたことが、見えないゴージャスさにつながっているのではないか。グループホームを見ているとそんなふうに思えてくるのです。
(2021年8月7日)