近視対策には外遊びを

 コロナのせいで子どもの近視が増えています。
 オンライン授業が増え、家にこもってゲームをしすぎるから?
 と思ったら、そうではない。屋外で強い光を浴びなくなったからです。
 アメリカの専門誌( JAMA Ophthalmology )に載った論文をもとに、ニューヨーク・タイムズのコラムが伝えています(Why Nearsightedness Is on the Rise in Children. May 3, 2021, The New York Times)。

 それによると去年、アメリカの6歳から8歳の子どもの近視は、それまでの5年間にくらべて顕著に増加しました。JAMAの原論文を読むと、2割から4割もの増加です。専門家は2020年を「自宅隔離で近視が増加した年」とみなすようになりました。
 たしかに子どもたちは学校に行けず、オンラインの授業が多かった。友だちと遊ぶこともできないからゲームの時間も増えました。近視が増えたのはそのせいだろうと思いがちですが、そうではない。

 眼科学の専門家たちは「ズームやゲームのしすぎで近視が増えた」とは、あまり考えないようです。屋外に出て強い光を浴びないと近視になる傾向が強いと考えています。
 ジョンズ・ホプキンス大学のニール・ブレスラー博士は、屋外の強い光のなかで遠くのものをよく見ようとすることは、眼球の形成に重要な役割を果たすといいます。強い光のなかで遠くのものをはっきり見ようとすると、眼球はそれに合わせて発達するからです。だから長時間、外で遊ぶ子は近視になりにくい。反対に家から外に出なかったり、強い光を浴びる時間が少ないと発達は中途半端なままで、結果として近視になってしまう。
 この現象は子どもが6歳から8歳くらいの、光への感受性が強いころに起きるのではないかと近年の眼科学は考えています。

 近視は遺伝と環境の両方が関係するので、明るい光を見ていれば近視にならないわけではない。けれど外の強い光のもとで遊ぶ子どもは、とくに小さいときにそうすれば近視になりにくいということでしょう。

 アメリカでは1970年に25%だった近視が、最近は42%にまで増えました。近視の増加は先進国だけの傾向でなく、多くの国に共通しています。とくに東アジアで顕著だとか。
 近視にならないようにするためには、もっと子どもたちに外遊びをさせるのがいいということでしょう。とくに晴れた日には。
(2021年5月5日)