飛行機に乗らない、っていう人が少しずつ増えているんだそうです。
フライト・シェイム(Flight shame)、直訳すれば“飛ぶ恥”。こういう言い方が広がっているとか。飛行機に乗るのは電車や自動車より炭素を大量に排出する、気候変動に加担するのは罪だというわけです。
そういえば、グレタ・トゥーンベリさんも国連に行くときに飛行機に乗らず船で行ったとか。イギリスのグラスゴーであった国連気候サミット、COP26に、ジョンソン首相が飛行機じゃなくて列車で行ったと、どこかで聞きました。
ま、そういう人もいるよな、くらいに思ってました。
飛行機に乗るのが悪だ、恥だとまでいわれるとは知らなかった。

ニューヨーク・タイムズによれば、「グーグル・フライト」というサイトを見ると、空の旅でどれだけ炭素をまき散らすかがわかる、と書いてあります(Is Flying Home for the Holidays Bad for the Planet? Nov. 23, 2021, The New York Times)。
さっそく調べてみました。
たとえば札幌から羽田まで飛ぶと、ぼくは124キロの二酸化炭素を地球にまき散らすことになります。全乗客じゃなく、ぼくひとりで。
え、そんなにたくさん? ちょっと驚きです。

札幌ー東京便で「124kg CO2」とある
ネット上には、飛行機がどれほど地球に害を及ぼすか、これでもかというほどに書いてある。たとえばボストンからミネアポリスまで(東京から沖縄よりちょっと遠いくらい)飛ぶと、乗客ひとりあたりの二酸化炭素で、北極の氷2メートル四方が溶けることになるんだそうです。
飛行機を使うと、北極の氷がどんどん溶けちゃうんだ。
そんなこと、いままで考えたこともなかった。
いますぐやめろっていわれても困るけど、これからは気をつけよう。

航空機のまき散らす炭素の量は、全体の3%にすぎません。だからたいしたことはないと思いがちです。でもそれをまき散らすのは先進国の、それもごく一部の人たちです。わずかな数の人が膨大な量の炭素をまき散らす。だから罪だ、恥だといわれるんですね。ことに途上国の人たちから見たら。
自由に気ままに、格安でどこにでも飛んでいくという時代ではなくなった。
50年前、留学生は船でアメリカやヨーロッパに向かいました。何週間もかけて。そういう時代にもどるんでしょうか、いずれは。
(2021年12月1日)