魚肉メニューを減らす

 こんなことばがあるとは知りませんでした。
 フレキシタリアン(flexitarian)、いままでより、もうちょっと肉や魚を減らした食生活をする人のことです。
 柔軟な菜食主義者、フレックスなベジタリアンの合成語ですね。
 このことば、10日、朝日新聞のピーター・マクミランさんのコラム「星の林に」で紹介されていました。

 マクミランさん自身がフレキシタリアンで、次のようにいっています。
・・・野菜中心の食生活を送りながら時たま肉や魚を食べる人のことで、その頻度などは各自が柔軟に決める。海外ではメーガン妃などの著名人や有名歌手をはじめ、多くの人が行っており、日本でも若者の間で「ゆるベジタリアン」として注目されつつある・・・

 ほお、こんな新しいことばが出てきた。
 と思って調べたら、じつは新語ではない。ニューヨーク・タイムズのデータベースでは初出が2004年、17年も前のことです。しかもそれは「最近、各種のブログに頻繁に出てくることば」というから、その前から使われているんでしょう。
 2004年以来、フレキシタリアンということばが出てくる記事はぜんぶで57件でした。
 一方、ベジタリアンはすごい数になる。1万2千件以上。
 ベジタリアンのなかでもとくに厳しく、卵や乳製品も食べない菜食主義者、ヴィーガンは4700件。
 ということは、少なくともアメリカではフレキシタリアンという生き方があまり流行っていないってことでしょう。

 アイルランド人のピーター・マクミランさんは、アメリカ人とはちがうからフレキシタリアンなのか。

 でもぼくにはぴったりの食生活です。
 いまさら菜食主義者になろうとも思わない。けれど肉や魚をあんまり食べると地球環境によくない。牛肉や豚肉は生産過程で地球温暖化を進めるし、魚もこのままでは資源が枯渇してしまう。もうちょっと魚肉食を減らしたほうがいいかな、という気分の、中途半端な“疑似エコロジスト”にとって、フレキシタリアンはぴったりな生活様式に思えます。
 おまけに、環境正義にもちょっとだけ貢献していると胸が張れる。

 いや、ちがうか。
 年のせいでそうなっただけかな。
(2021年10月10日)