オーバーキル。
きのう、ぼくはコロナ・ワクチンの1回目の接種を終えました。一晩たって思い浮かんだのはこのことばです。何かするときに必要をはるかに超えた力をふるうこと。
いや、ワクチンじゃありません。ワクチンの接種体制、力の入れようです。
接種を受ける人より、その案内、対応する人のほうがはるかに多い、過剰「接待」と感じるほどでした。

最初の驚きは、地下鉄桜木町駅。
改札を出たらいきなり、腕章をした係員3人が取り囲んでいる。「ワクチン接種ですか」「会場はこちら」。答える間もなく、会場方面への通路に誘導されました。
改札から地上に出るまで、曲がりくねった通路、エスカレータの上下にはとぎれなく案内員の姿。しかも、お役所仕事にしてはみんな親切、ていねい。

大規模接種会場までは無料の送迎バスが出ています。
これに乗るころにはなんだかわずらわしくなっている。こちらです、接種ですね、はいどうぞ。案内カカリインの合唱。
この人たち、どこの部署からかき集められてきたんだろう。日曜日にこんなところで仕事をしていて、休日手当は出るんだろうか。いや出るからこそ親切なんだろうな。

バスを降りてから接種会場までも案内係の波。ベルトコンベアに乗せられたみたい。
何も考えることはない。1時間ほどで自動的にワクチン接種は終わり、ぼくは会場をあとにしました。

それにしてもよくまあこれだけの人手を集めたもんだと思う。
ワクチン接種に対する横浜市、国の意気ごみを感じます。
その意気ごみはどこから来ているのか。
接種の現場には、生命健康を守る意気ごみがあります。でも、その影に隠れた暗い意気ごみも感じないわけにはいきません。
追い詰められた日本の人びとを見おろすIOC貴族の顔が、横浜のスカイラインに浮かびます。

IOCのオリンピックには3つの目標があるといいます。1、カネ。2、カネ。3、カネ。
4月ごろ、新聞にこういうコメントを書いたコラムニストがいたけど、あれは誰だったか。
(2021年6月14日)