10月からは新年

 先週、浦河ひがし町診療所は毎月恒例のスタッフ会議がありました。
 最近みんな何をしているか、何を考えているか、もろもろを語り合うミーティングです。
 メンバーの変化、スタッフのくふう、大事なことがいろいろ出てきます。
 ぼくにとって印象的だったのは、「明けましてスペシャル」の提案でした。

 コロナの緊急事態宣言が、9月末で終わるんじゃないか。
 じっとがまんの日々が、これで終わる。自由に息ができる。新しい世の中が来る。
 その気持を表したのが、明けましてスペシャル。10月1日に、まるで新年が明けたようにメンバーとスタッフみんなで特別イベントをしたい、という企画です。
 さあ、どんなことしたい?
 焼肉パーティ、焼き芋、紅葉狩りツアーはどうだろう、カラオケ、帯広に遠出もいいんじゃないか。グループホームのデッキでみんなでブランチ、あ、それやりたい、と夢が広がります。

 とはいえ、萎縮しきった世の中でそう一気に規制がなくなるはずもない。カラオケはまだだめかな、でも戸外でするバーベキューくらいはいいんじゃないか。
 あれこれのやり取りでぼくがいいなと思ったのは、スタッフに変な自粛や同調圧力がなかったこと。なにしろひがし町診療所のスタッフだから、「なにか楽しいことを」という呼びかけには場がはじかれたように反応する。
 しかもけっして、「何かあったらどうするんだ」ということばが出てこない。

 何があってもいいとまではいわないけれど、感染を心配してるだけじゃ何もできないという気持ちが先に立っている。ワクチンの接種もすんで、以前とはもうちがうんだから。
 そういうなかでの「明けましてスペシャル」、ぜひ進めてほしい。

 そんなミーティングのあとで、宮子あずささんのコラムが目に入りました。精神科の訪問看護をしている看護師さんです(東京新聞9月20日「本音のコラム」)。
「心のリハビリ」という題で、宮子さんは、感染対策に気を配る必要はあるけれど「常に関心がコロナでは、つらすぎる」といいます。
「この間私たちは、他者の行動に、あまりにも過敏になってきた。ひとさまの外出やマスクの材質まで。・・・時にはコロナ抜きで語らう、リハビリも必要だ」
 他者の行動に敏感になりすぎて、ぼくらはおかしくなっている。
 少し、もとにもどらなきゃ。
 他人に目を向けるだけでなく自分にも目を向けよう。明けましてスペシャル。
(2021年9月22日)