世界中でコロナが日常化しています。
相当数の感染はあるけれど、もう以前のような深刻さはない。コロナは風邪のようなものという言い方から、そのリスクは喫煙とおなじという人までいる。それに引きかえ、日本のメディアはいまだに危機感をあおるだけの論調が多いですね。
ほかの先進国は、コロナを「超えたあと」を考えはじめています。
そこでの当面の課題は2つでしょう。
4回目の接種は必要か。
老人はどうすればいいか。

コロナ・ワクチンの3回目の接種をしても、4か月後にはもう効きめが落ちるという報道がありました。アメリカCDCの2月11日の発表によれば、3回目のワクチンの効果は次のようなものです。
・3回目の接種から2か月後、91%の人が入院しなくてすんだ。
・4か月から5か月後、78%の人が入院しなくてすんだ。
効果が落ちるといっても、9割が8割になるだけ。ほとんどの人がコロナに感染しても入院する必要はなかったのです。だから4回目を急ぐことはない(Will Adults Need a Fourth Dose of Covid Vaccine? It’s Too Soon to Know. Feb. 17, 2022, The New York Times)。

とはいえ、よく見ると別なことがわかります。
これらのデータには、年齢別の内訳がありません。糖尿病など基礎疾患のある人の危険についても分析していない。
ここから推定されるのは、3回目の接種で若者は大丈夫だろうけれど、老人はそうではないということです。3回目を打っても、80歳以上であれば重症化する危険はずっと高いでしょう。

つまりこういうことです。
新しい日常のもとで、若者や現役世代は以前とおなじような暮らしに復帰する。でも老人はそういうわけにいかない。どうしても現役世代といっしょになりたいなら、4回目も接種するなど自分で特別な注意をするか、特別な配慮や遠慮をしてもらう。
なんだか老人いじめのようだけれど、考えてみれば自然なことではないでしょうか。
老人が若者とおなじように病気にかからないとか、かかっても悪化しないなんて、コロナ以前でもありえなかった。老人が生きるのはいつだって危険なのです。
年寄りは年寄りなりの生き方を。それが新しい日常のわきまえでしょう。
(2022年2月18日)