ウクライナ戦争はどうなるか、BBCが「5つのシナリオ」を描いています。
アメリカのフリードマンさんの「戦争終結への3つのシナリオ」と似ていますが、BBC版はもうちょっと専門的です(Ukraine: How might the war end? Five scenarios. By James Landale. March 3, 2022. BBC)。
1)短期で終わる戦争
ロシア軍が攻撃を格段に強め、ウクライナは数日中に崩壊する。ゼレンスキー大統領が死亡するか海外に逃げるなどして、プーチン大統領が勝利を宣言、ウクライナにかいらい政権が樹立される。ただし安定政権とはならず、ウクライナは長年の混乱がつづく。

「ウクライナはヨーロッパと世界を防衛している」とある
2)長期戦
ロシア軍は勢いをなくし、キエフ占領は長期間の市街戦を経なければ実現できない。ウクライナ全土を制圧しても、十分な数のロシア軍を長期間展開するのはむずかしい。ウクライナは破壊しつくされ、ロシアは疲弊するだろう。残ったウクライナ人は西側の支援を受けながらゲリラ戦をつづける。何年にもわたる抗争の末、たとえばモスクワの政権が交代するのを機に、ロシアはウクライナから撤退するかもしれない。
3)欧州大戦
プーチン大統領はウクライナだけでなく、旧ソ連諸国の再統合という野望にかられている。ウクライナの先のモルドバやジョージアに、さらにはバルト三国にまで進軍しようとするかもしれない。あるいはウクライナのゲリラを支援しているといって、西側諸国の攻撃に踏みきるかもしれない。そうなれば第三次欧州大戦になる。ほとんどの専門家はその可能性は低いと見ているが、戦争が広がればロシアは戦術核兵器の使用も辞さないだろう。

「我々は暗い9日間を耐えた」
4)外交解決
ロシアとウクライナの代表団がベラルーシ国境で会談したのは、予期せぬ展開だった。プーチン大統領は事態が手に負えず自身の政権が危ないと判断したら、またたとえば中国が動けば、面目がつぶれない形での外交的解決に目を向けるかもしれない。
5)プーチン追放
ウクライナにもかつては親ロシア政権があった。それがくつがえされたのだから、ロシアにもそういう変化が起きることはあるだろう。ウクライナ戦争の犠牲者が増え、経済制裁の効果が浸透したとき、ロシア国内には変化が起きるかもしれない。

BBCはこの5つのシナリオが単独ではなく、部分的に重複しながら起きるだろうといいます。重要なのは、そうした全体がロシアとウクライナだけでなく、ヨーロッパが、そして全世界が、この1週間で入りこんだ「新しい枠組み」のもとで進むことだと指摘しています。
(2022年3月5日)