90万円のもあった

 貧乏人のやっかみはつづきます。
 きのうこのブログで、日本政府が2019年、来日したアメリカのポンペオ国務長官(当時)に60万円の高級ウィスキーを贈っていたと書きました。ニューヨーク・タイムズの「スクープ」です(こんなの雑報、スクープなんていわないでよと担当記者にいわれそうですが)。
 すぐにワシントン・ポストが後追いしました。ウォール・ストリート・ジャーナル、ロイター通信、韓国の東亜日報、琉球新報、ニューズウィークも。

 この60万円ウィスキー、日本政府からポンペオさんに贈られたことは米国務省の記録ではっきりしているけれど、本人はそんなもの知らないといっている。しかも当のウィスキーは行方不明。ワシントンでは「フーダニット」のミステリー、いやゴシップとして話題になっています(August 5, 2021, The Washington Post)。

米国務省

 外交上の贈答はめずらしいことではない。この年、当時のトランプ大統領にはベトナムの大統領から陶器製のドラゴンが、ブラジルの大統領からは木彫りのジャガーが贈られています。でもそういうものはすべて政府の保存庫に渡されています。ところがこの60万円ウィスキーはどこに行ったかわからない。
 すでに誰が飲んじゃったんでしょうか。
 黙って飲んだら、アメリカの法律に違反します。

 日本のメディアはこのニュースを伝えなかった、とポスト紙は伝えています。SNSが伝えたくらいだと。
 いや、東京新聞が伝えていましたね。新しい情報とともに。
 それによると、なんと日本政府は60万円ボトルのほかに、90万円ものウィスキーを別のアメリカ政府高官に贈っていたそうです。2019年5月10日、当時の菅義偉官房長官が「ポッティンジャー・米国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長(当時)に、8374ドル(約92万円)相当の高級ウイスキーを贈っていた」と、5日の東京新聞は伝えています。

 60万円だの90万円だの、すごいなあ。
 と思う一方で、こうも思います。
 逆のケースって、絶対考えられない。アメリカを訪問した日本の外務大臣や政府高官に、もしアメリカ政府がそんな高価な贈り物をしたら世論は大ブーイング、政権は袋叩きにあいます。
 日本はそうはならない。
 日米安保体制って、こういうふうにして維持されてるんですね。
 ゆがんだ同盟だと思います。
(2021年8月6日)