LGBTQは日常

 いまやアメリカ人の7.1%が、自分はLGBTQだといっています。
 前年の5.6%からの顕著な増加。若い世代がこの動きを進めています(A record number of U.S. adults identify as LGBTQ. Gen Z is driving the increase. Feb. 17, 2022, The Washington Post)。

 この調査は、去年ギャラップ社がアメリカで1万2千人を対象に行いました。
 それによると、自分はLGBTQだと思っている人は、いちばん若いZ世代(ギャラップ社は1997年から2003年に生まれた人としています)では21%にもなります。
 ついで多いのがミレニアム世代(1980年代から90年代生まれ)で10.5%。
 X世代(1960年代から70年代生まれ)は4.2%でした。
 それよりもっと高齢の、いま60歳以上の世代では2.6%とういふうに、年齢が上がるにしたがってLGBTQの自認率は下がっていきます。

 LGBTQがはっきり増加傾向にあるのは、若い世代のおかげといえるでしょう。
 ギャラップ社の専門家、ジェフリー・ジョーンズさんはいいます。
「彼らはLGBTQがノーマルなことで、とまどったり隠したりしなくていいという文化のなかで育ってきた。たしかにまだ差別はあるけれど、もうそれは古い世代が経験したようなものではない。行動も受け止め方も変わり、人口構成も変わっています」

 活動家のサラ・ケイトさんは、この調査結果によろこんでいます。
「LGBTQのアメリカ人がどんどん表に出てきて、これが本来の自分なんだと主張し、社会で対等の立場に立つようになったんです」

 若い世代が多いということ、しかもさらに増える傾向にあることは、いまやLGBTQが特別ではない、日常だということでしょう。しかもその中身はさらに多様化しています。
 今回の調査から、ギャラップ社はLGBTQのなかのどのカテゴリーにあてはまるのかを聞いています。複数回答に表れた傾向を見ると、若い世代はバイセクシュアルがほかの世代よりも多く、「その他」、ノンバイナリーなどと呼ばれる人びと(「LGBTQ +」の「+」の部分)も、古い世代より多い。性のあり方を自由に選ぶ、固定化しないというイメージなのでしょう。ジェンダーで追い詰められていない、ということかもしれません。

 性というのは男と女、それ以外を異常とみなすのは、いまはむかしの思考です。
 ジェンダー以前に、そもそも正常と異常を設定することが危ないのだけれど。
(2022年2月19日)