OEDに韓国の26語

 OEDは、オクスフォード英語辞典。
 出版文化全盛のころ、OEDは辞書分野にかぎらず出版界の金字塔でした。OEDにはこう書いてあるといえば議論はそこで終わる、もっとも信頼される辞書だったのです。デジタル化されても収録語数60万を誇り、英語や英文学研究者には必須の参照文献です。

 そのOEDに、このほど外来語として韓国語が26語入りました。
 韓国文化の影響はここまで強まっていると、BBCが伝えています(Why 26 Korean words have been added to Oxford English Dictionary. Oct.5, 2021, BBC)。

 OED最新版に収録された韓国語は、たとえばこんなものです。
 バンチャン(banchan):野菜の小皿料理。韓国の食事でご飯とともに出される副菜。
 ブルコギ(bulgogi):韓国料理のひとつ、牛か豚肉の薄切りに味付けし、焼くか炒めたもの。
 キムパプ(kimbap):韓国料理のひとつ、海苔巻。

キムパプ

 いずれも韓国の食べ物、日本でもおなじみです。スシやスキヤキとおなじように、世界中の人びとがこういう韓国料理を食べるようになったのですね。

 でも、これは何か。
 hallyu。
 ハリュウ? OEDの記述は、「韓国とその大衆文化の国際的な広がりで、韓国の音楽、映画、ファッションや食事によってもたらされた」とあります。
 しばし考え、ようやく気がつきました。
 なんだ、韓流じゃないかと。日本語だとカンリュウだけど、韓国語の発音はハンリュウに近い。それでOEDでは hallyu という項目になっているのでした。

 おなじような項目として K-drama とか、manhwa なんていうのもあります。
 韓国ドラマ、マンガのことですね。
 そんなふうに、「韓国の波は英語にも押し寄せている」とOEDの担当者はいっています。

 韓国の波が世界に広がったのは、才能とテクノロジーを駆使する力があったからだといわれます。Kポップスというより、いまやビートルズと並ぶ世界的なグループになったBTS、アカデミー賞に輝いた映画「パラサイト」、ネットフリックスで世界90カ国のトップになった「イカゲーム」など、韓流の興隆はすさまじい。

 もちろん国内にはまだまだ深刻な男女差別があるとか、少子化は日本より先を行き、地方の過疎化も止まらないなど、問題はいくらでもあるようです。でも韓国にはいま、時代を変える力が無数の潮流となって現れています。
(2021年10月7日)