サンゴ礁を守ろう

 日焼け止めクリームは、選んで使わなければなりません。
 既存の日焼け止めのなかには、サンゴ礁に有害なものがあるからです。ハワイでは2018年から特定の日焼け止めの使用が禁止されました。フロリダやパラオ、タイの観光地でも「使ってはいけない日焼け止め」が指定されているそうです(How to find sunscreen that’s good for the environment — and you. May 27, 2022, The Washington Post)。

 日焼け止めをちょっとくらい使ったからって、なんでサンゴがダメになるの?
 そう考えてしまうけれど、アメリカの国立公園局によればサンゴ礁には毎年4千トンから6千トンもの日焼け止めが流れ込んでいるそうです。それがサンゴ礁を破壊している。
 全部の日焼け止めがいけないわけではない。成分のなかに“オキシベンゾン”とか“オクチノキサート”(メトキシケイ皮酸エチルヘキシル)といった、サンゴに有害な成分が入っているものは禁止ということです。

 気をつけなければいけないのは、製品に「サンゴに安全」と書いてあっても信用できないこと。確実を期すなら成分表を見て判断するしかありません。しかしふつうの人は、”オキシなんとか”とか、舌を噛みそうな化合物の名前を覚えられるわけがない。というわけで、専門家は日焼け止めの「タイプ」で選ぶことを勧めています。

 日焼け止めには、大きくわけて化合物系と鉱物系の二つがある。
 化合物系は、紫外線を「吸収」する化学物質でできている。一方、鉱物系は金属の酸化物(酸化亜鉛、酸化チタンなど)が紫外線を「反射」することで肌を守る。大げさにいえば金属の膜を張って紫外線をはね返すようなものです。専門家はこちらの方を勧めます。
 具体的な製品名でいえば、皮膚科医のひとりが勧めるのはエルタMD(Elta MD)です。

エルタMD

 もっと安いものがいいという人には、ニュートロジーナ製品(Sensitive Skin)。資生堂のクリア・サンケア・スティック(Clear Sunscreen Stick)がいいという人もいます。

ニュートロジーナ製品

 なお、スプレータイプはやめたほうがいい。スプレーしても肌に付くより風で飛んでいく方が多いから。それにスプレーだと微量でも成分を吸いこんでしまうからです。
 また日焼け止めは、それだけですませるより紫外線を防ぐ帽子やパラソル、シャツなどと合わせて使うようにと専門家はアドバイスしています。

 ぼくは日焼け止めに縁がないけれど、あらためて資生堂のサイトを見たらちゃんと一部製品はハワイで使えないと書いてありました。でも有害とされる成分については「使用しない製品の開発・改良を進めています」とあるだけで、製造を中止するつもりはないようですね。
 いいのかな、それで。
(2022年6月7日)