今日もミャンマーで

 たくさんの市民が集まっているところに、空から爆弾を落とす。
 軍事作戦ではなく、たんに人を殺すために。
 ロシアでさえウクライナに対してしないようなことを、ミャンマーの軍事政権がしています。反政府地区で行われていた市民集会に11日、空軍機が爆撃を加え100人以上の市民が殺害されました。2年前にクーデターで軍事政権が登場してから最悪の事態です。でも軍政がつづくかぎり、この先もっとひどい事態が起きるでしょう。
 ミャンマーはいま、そんなふうになっているらしい(Airstrike in Rebel-Held Region of Myanmar Kills at Least 100. April 11, 2023. The New York Times1)。

 爆撃されたのはミャンマー中部のサガイン地区です。現地で活動している市民団体や反政府組織NUG(National Unity Government)によれば、爆撃されたのは新しい役場の開設を祝う市民の集会でした。これをジェット機やヘリコプターなど複数の軍用機が爆撃、100人以上が犠牲となり、そのなかには子ども30人も含まれていたといいます。周辺の建物も破壊されるなど、大きな被害があったことがSNSの映像で伝えられました。

 ミャンマーの軍政は、かねてから反政府運動に苛烈な弾圧を加えることで有名です。アメリカの市民団体(United States Institute of Peace)によれば、クーデターが起きてからこの2年間で市民2万人を拘束し、3千人以上を殺害している。反政府勢力が浸透している地域に対しては、村全体を破壊するような攻撃をくり返し、150万人の難民が生まれています。しかも最近はロシア、中国の援助で空軍力を強め、空からの攻撃を拡張しています。それも兵士ではなくただの市民を、その集団を標的にして。
 軍政に抵抗する人びとは、山間部にひそんで政府軍と戦っている。でも空からの攻撃には無力です。

ミャンマーの農村
(Credit: World Bank Photo, Openverse)

 ロシアなんてウクライナとの戦争で忙しいはずなのに、ミャンマーの軍事政権を支援したりしているんですね。全体主義の国にとっては全体主義の国が友だちだからでしょう。政権に反抗する人びとへの弾圧も共通している。恐ろしいし、忌まわしいことだと思う。
 そういう事態に、ぼくはどう反応すればいいんだろう。
 ミャンマーの山奥で、私は自由に生きたいといっている人びとが殺されている。
 それに無関心ではいけない。でも、だからといって軍政やロシア、中国を声高に非難するのもどこか空疎な気がします。たぶんぼくらはもっと日本政府の反応に注目すべきなんでしょう。ミャンマーの軍政に沈黙する日本は、どこにどういう利権があるのか。そこを気にしながら、ミャンマーで声を上げる人びとへの関心をなくさないようにしたいと思っています。
(2023年4月13日)