日高は寒い

 関東は各地で35度を超えているようです。
 その炎暑を逃れ、日曜日から北海道浦河町にやって来ました。
 気温は20度をちょっと超える程度。朝晩家のなかは涼しいというより冷えています。
 地元の人は25度になると暑い暑いっていいますが、関東から来た身には涼しいというよりときに寒いくらい。きのうは長袖シャツを着て地元民に笑われました。

 来る途中、海岸を見ると日高地方は昆布だらけです。
 少し前に海が荒れたのか、海岸にたくさん打ち上げられていました。干せばダシ昆布になるけれど、浜辺に落ちていても漁民以外は拾うことができません。もったいないとながめるだけ。このあたりの海岸はどこもこの時期、朝早い時間は昆布漁で活気があふれているでしょう。
 とはいえ港に行くとイカ船の姿がなく、ことしもまた不良かと気になります。イカやサンマが高級魚になるなんて、信じられない世の中になりました。

 夏の日高地方、道端にはどこにもレースフラワーのような白い花が咲いています。
 フラワーアレンジメントに使えると思うけれど、ここでは誰もふり向きません。グーグル・レンズで調べるとノラニンジンっていう雑草らしい。ぼくはまちがってカワラボウフウと覚えていたので、訂正しなければなりません。

 1日から顔を出している浦河ひがし町診療所は、あいかわらずです。
 木村貴大ワーカーに聞くと、田んぼの稲は7月末に開花し、順調に結実に向かっているとか。ことしは天候不順で稲の丈が足りない。もう黄色くなりはじめているけれど、もっとひどい年も経験しているからどうにかなるだろうと余裕の表情でした。

 グループホーム・すみれⅢに住んでいた田中さんがしばらく入院し、1日に退院しました。いつも田中さんといっしょに行動していた水野さんが、ひとりになって不安かと思ったらかえってしっかりしたと、みんなが感心していました。

浦河ひがし町診療所

 デイケアでは新しく「ダイエット・クラブ」というプログラムがはじまります。
 精神科の薬を飲んでいる人はかなりの確率で体重が増える、これをどうするかという話でしょう。でもそこはひがし町診療所、いかにダイエットに成功するか、その技を磨くかなんていう美しい形にはならない。どれほどダイエットに失敗したか、どこまで自分はだめなのか、そういうことを語りあう場になるんじゃないかという“期待の声”も聞かれました。
 金欠ミーティングとおなじです。ここでも「降りていく生き方」が模索される。
 それを担保する、正直に話すということ。
 テーマがどう変わっても、向き合う姿勢は変わりません。
(2022年8月3日)