朝カフェ再開

 また朝カフェがはじまりました。
 と、写真が送られてきました。浦河ひがし町診療所のグループホーム「すみれⅢ」で、月に1,2回、土曜日の朝に開かれるカフェです。
 森のなかのダイニングでおいしい朝ごはんとコーヒーが楽しめる朝カフェは、去年夏にはじまり、たくさんの人がやってくる人気イベントになりました。厳冬期はしばらく中止になっていたのが、春の訪れとともにまたはじまったようです。

「すみれⅢ」の朝カフェ(4月2日)

 全国にたくさんある精神障害者のグループホームのなかで、きっとナンバーワンのクオリティを誇るすみれⅢは、新築の2階建て、北海道仕様の完全断熱構造と床暖房で暖かく快適です。広さも自然環境も抜群、機能的なダイニング・キッチンと大きなテラスの前には森と草原が開けて、札幌や東京のおしゃれなカフェにも引けをとりません。ミニコンサートやイベント、ミーティングにも、これ以上はない空間です。
 そこに5人の統合失調症のメンバーが住んでいますが、それ以外にいろいろな人が集まるようになりました。朝カフェもその一環で、少ないときでも10人くらい、多いときは20人もがここで土曜のブランチを楽しみます。

 4月2日の人気メニューは、「ほうれん草のスムージー」でした。
 ひがし町診療所は、デイケアでほうれん草の収穫作業があるので、新鮮なほうれん草がふんだんに手に入ります。それを牛乳ベースのスムージーにしたとか。おいしいスムージーにほっこりする、みんなの顔が目に浮かびます。

 朝カフェだけでなく、すみれⅢの集まりではだいたい住人のメンバーは脇役です。人付きあいが苦手な彼らはどうしても引きこもりがちで、スタッフやお客が集まってざわめいていても、いっしょになってはしゃぐことはない。出てこなかったり、出てきてもじっと沈んでいることがよくあります。でも、外の人が来て迷惑かというとそうでもない。あまり人が多くて押しつけがましくてもいけないけれど、ひとりで孤立していたら病気は悪くなる。そのあいだのどこかで日々揺れている。このへんのかかわり、呼吸が大事なようです。
 長いつきあいのなかで、メンバーとスタッフ、ボランディアや町の人、みんなが自然にたどり着いたのが、この呼吸だったということでしょう。

 なんということもなく過ぎてゆく日々。病気が治っているわけでもなく、めざましい活躍があるわけでもない。けれどすみれⅢができて1年が過ぎてみると、みんな暮らしになじんでいる、メンバーのあいだに自信といえる気分も芽ばえているようだ、そんな空気が伝わってきます。
(2022年4月4日)