12年目のココはず

 ココはずは「ココロはずむアート展」のことです。ここ数年、ぼくもその手伝いをしてきました。12年目を迎えることしも9月から来年2月まで、横浜市北部の6つの会場で開かれています。先日、会場のひとつである都筑区の「カプカプ川和」の展示を楽しみました。

ココロはずむアート展(カプカプ川和)

 横浜市都筑区の川和駅近くにあるカプカプ川和は、去年引っ越したばかりの明るく広々した空間です。カフェ・スペースを中心にたくさんの作品が並んでいました。
 なかには制作者の名前を見なくても「ああ、あの人だな」とわかる特徴的な作品があります。まったくあたらしい作家もいます。それら作品群は、テーマも画材もいろいろばらばら、絵だけではなく粘土細工や布の加工品もあり、何が作品なのかそうでないのかわからない。見ているうちに、このバラバラ感、統一のなさ、いい意味でのいいかげんさがしっくりなじんできます。ココロはずむアートというより、ココロおだやかになるアートでしょうか。

 この日感じたのは、アート展そのものがひとつの作品だということでした。アート作品が並んでいるだけでなく、その並べ方、空間のつくり方、カフェやキッチンとのつながり、さらにはそこにいる人びとという、全体がひとつの表現になっている。それをぼくは「ココロおだやかになる」といったけれど、そのおだやかさは健常者社会の日常からははみ出ている。日常を出る、超えることがアートだとするなら、アート、表現ってなんだろう、なんていう考えも浮かんでくる。いわゆる芸術作品とはとても見えない作品を見つづけていると、こっちが見ているのか、逆に見られているのか、ココロ乱されるというのかなんか、ぼくのココロってなんだろうかとも思います。そんなふうな浮遊感が、ココはずにはありました。

 ココロはずむアート展、来年2月末まで各地で開かれています。

 どの会場の展示もそれぞれに楽しめますが、ぼく自身はココはずの延長として来年3月に開かれる「「これってアートなの?」特別展」にも期待しています。ココはず推進人のひとりである中畝常雄さんのキュレーションが、アートをめぐるぼくらの常識に挑戦してくれるだろうから。上記サイト内に案内がありますので参考にしてください。
(2022年11月3日)