デッキが広いんですよ。
ひがし町診療所の精神科医、川村敏明先生が目を輝かせています。
あたらしくできる診療所のグループホームに、まるで舞台のように広いウッド・デッキができると。
大きなリビングの前のデッキ。居住者はいつでもここに来て、その先に広がる庭と森を眺めながらゆったりコーヒーを楽しむことができます。この広さなら10人以上でも余裕のソーシャル・ディスタンス。やがて目の前にはコスモスが咲き、ヤギが草を食む風景が広がることでしょう。

もちろんデッキの内側にものびのびしたリビング、ダイニングに加えて図書コーナー、アトリエ、世話人の居室まであります。誰もが住みたいと思う家、従来の概念を一変させたグループホーム。それはただ金をかけたのではない、ひとつの変わらぬ思いからきています。
大事にしてるってことですよ。住む人を。
川村先生はいいます。広いデッキがあるのは、グループホームが閉じた場所じゃないってこと。外に開かれている。なかから外へ、外からなかへ、そのあいだにあるデッキ。ここはただ人が住むだけのところではない。


庭には石窯を置いてピザを焼きたい。近所の子どもたちが食べに来るんじゃないか。なかにはお腹を減らしている子どももいるだろう。子ども食堂、っていうのかな。だったらニワトリも十羽ほど飼って、卵かけご飯をふるまったらどうだろう。
家は、年内には完成します。この家がどのように地域に溶けこんでゆくのか、ぼくは見たいと思います。
(2020年12月9日)