イブの町へ

 クリスマスイブの日、ひがし町診療所のスタッフがサンタになりました。
 赤い帽子とマントで、これから町のなかに出かけます。子どもたちにクッキーやキャンデーを届けに。

 町にはサンタの訪問を夢見ている子どもたちがたくさんいます。
 でも、なかにはサンタを知らない子どもたちがいます。サンタの「物語」を知らないのです。
 ・・・クリスマスの前の晩にはね、サンタさんがトナカイのソリに乗ってやって来るんだよ。靴下のなかにプレゼントを入れてくれる、さあ、朝になったらどんなプレゼントが入っているかな・・・
 そういう話を聞いたこともなければ、経験したこともない。
 子どもたちの親も、そういう経験をしていない。親がいない家もあるし。
 そんな子どもたちにこそ、クリスマスを。

 もちろん診療所はジェンダー・フリー、女性看護師もサンタになります。
 男性サンタの方が気が弱くて、「ひとりじゃ行けない、誰かいっしょに行って」というので女性看護師が付き添いました。

 サンタ隊の編成は、前の日のミーティングで急きょ決まりました。
 スタッフがすぐに出かけたのは百均ショップ。帽子とマント、白いひげとズボンの4点セットが440円。それを4セット用意しました。残念ながらトナカイの角は売り切れだったとか。
 そんなところでサンタの衣装を売ってるなんて知らなかった。百均って、えらいんだ。
(2020年12月25日)