浦河ひがし町診療所は12月28日、大掃除でした。
デイケアのメンバーとスタッフで台所を掃除し、冷蔵庫の中味を片づけ、ガラス拭きやゴミ捨てに励みます。
冷蔵庫はこの1年、誰が入れたのかわからない容器やパックがあれこれ。だしを取ったあとの出がらし昆布を、また煮て佃煮にしようなんてとっておいたのとかがごそごそ出てきます。


北海道のことばで、ゴミ捨てはゴミ「投げ」。
これ投げていいのい? いいよ。あとで文句いわれない? 師長さんが投げたっていえばいいさ。
師長さん、診療所スタッフ最高齢で元日赤看護師長の竹越靖子さんはもうすぐ80歳、何でも思いっきりよく捨てる人です。
その師長さんが捨てたことにすればいい。そういって、誰のかわからないもろもろをどんどん捨てました。
当の師長さんはそんな会話は知りません。知ったとしてもやっぱり「投げよう」っていったでしょうが。

無計画で思いつきの、いかにも診療所らしい大掃除が夕方までに終わり、あちこちに鏡餅が供えられしめ飾りが付けられました。
鏡餅は最近の趣向でしょうか、紅白の餅の二段重ね。ダイダイならぬミカンは乗せたものの、ウラジロや紙垂はなし。いいかげんといってはいけません。なぜそうなのか「つきつめない」のがこの精神科診療所では美徳とされるのですから。

しめ飾りには、思いがこもっています。
本体は、診療所でつくった米の稲ワラだから。稲を脱穀したあとにできたワラと、そのワラを撚(よ)って、むかしながらの手作業でデイケアのみんなでつくったワラ縄です。この1年の物語が詰まっています。
(2020年12月28日)