人類が滅亡するとすれば、最大の危険要因はAIと核兵器だ。こんな予測が出ています。
予測を出したのが「ランセット」と聞いて、え?となる。世界最高レベルの医学誌が、なんで人類の滅亡を予測するのか。
読むと、ただの遊びではないとわかります(Nuclear war and malicious use of AI threaten end of humanity by 2100, says Lancet assessment. 11 Oct 2026. The Guardian)。

この予測は、「ランセット21世紀世界健康脅威委員会」の大学教授や医学者など35人の専門家がまとめました。
今世紀中に人類が滅亡する危険をもたらす要因は17あり、そのトップがAIと核兵器だといいます。
「今後75年以内に、生物化学兵器の開発といったAIの悪用によって、または核戦争がもたらす核の冬によって世界的な飢饉が起こり、人類は滅亡する可能性がある」
それを回避する実行可能な方策があるので、政治家は立案に取り組むべきだと委員会は提言しています。

人類の滅亡をもたらす可能性のある17の要因は、AIと核のほかに大気汚染や耐性菌(抗生物質に耐性をもつ細菌)、子どもの栄養失調、気候危機、在来型の戦争などたくさんある。アルコールや高血圧、肥満や精神保健といった項目もあります。
ランセットの予測は、これらの要因で人類の健康な寿命が奪われることを「損失寿命」という概念で数値化し、地球の平均気温が1.8度ではなく4.4度も上がったら18億9千万歳分の健康寿命が失われると計算する。これを17項目について計算しました。

報告をまとめたロンドン大学のイブラヒム・アブバカル教授は指摘します。
「われわれは人をおどすために報告を作ったのではない。いま行動を起こせば脅威に対策をとれると、政策立案者にいいたかった」
ぼくが興味深かったのは、記事が出てきた経緯でした。
ランセット報告は、多くの人が「ま、そんなもんだろ」と受けとめるような、けっしてセンセーショナルではない内容です。そういう記事がどうして掲載されたのか。
ガーディアン基金というものがあったからでした。ガーディアン基金は、「売れない記事でも、大事なものは報道する」しくみです。この基金があって、今回のランセット報告も記事にすることができた。
ガーディアン基金を支えているのは、ビル・ゲイツさんの「ゲイツ財団」だそうです。財団は、金は出すけれど報道内容には関与しない。
なかなかいいしくみがあるんだなと、感心しました。
(2026年10月23日)
