チャットボット受診法

 医師の代わりに、チャットボットで「受診」する人が増えています。
 チャットボットは「チャットするロボット」、ネット上のAIがこちらと対話しながら質問に答えてくれるサービスです。このチャットボットを自分の健康や病気の相談に活用する人が増えている。アメリカでは去年、おとな6人にひとりが日常的にチャットボットを健康相談に使っており、その率は年々上がっている。
 チャットボットをどう使えばいいかを、医師がアドバイスしていました(5 Tips When Consulting ‘Dr.’ ChatGPT. Oct. 30, 2025. The New York Times)。

 代表的チャットボット「チャットGPT」は、医師国家試験に合格する能力があります。でも初歩的なまちがいを犯すこともあるから、医師の代わりにはなれない。注意して、かつ批判的に使うべきです。
 どんなところに気をつければいいか、5つのアドバイスがありました。

・危険が少ない場合に使う
 利用者は、深刻な病気になる前にチャットボットを使いこなしていたほうがいい。使いなれていれば、チャットボットに上手な質問をし、的確な答えを引き出せるようになります。
「MRI検査を受けたほうがいいか」と聞くのは、上手な質問ではない。チャットボットは質問者にこびる傾向があるので、正確な答えを出すよりはあなたに合わせるでしょう。むしろ「自分の場合、MRI検査にはどんな意味があるか」と聞くほうがいい。どちらにも答えられるような質問をすれば、より的確な答が出てくる。

 アドバイスはこのほか、「チャットボットと情報を共有する」、「長時間のやりとりを避ける」「根拠をただす」など、いくつものコツを提示しています。
 要するに、チャットボットの特性をわきまえていなければならない。
 たとえば「チャットボットは答えを出すのは得意だが、質問は不得手だ」という特性がある。医師だったら当然するであろう追加質問をしない。そのために正確な診断をのがすかもしれない。だからチャットボットがなにか聞いてきたら、いっぺん答え、そのあと「さらに、私に聞いておきたいことはないか」尋ねるといいかもしれない。

 チャットボットは、「決定者」ではなく「教育者」として使うこと。教育してもらったうえで、あらためて医者に相談すればいい。医者に的確な質問をし、医者の答を自分なりに吟味することができる。
 大事なのは、自分の健康や病気について真剣に考えたいなら、無数にあるチャットボットのなかでも有料サービスを選ぶべきだということです。情報は金がかかる。それはネット上のどんなコンテンツについてもいえることですが。
(2025年11月3日)