うそで固めた戦争

 トランプ大統領はイランの戦争についてうそをたれ流している。
 ニューヨーク・タイムズが社説で大統領を批判しています。タイムズ紙はこれまでにも「トランプのうそ」をくり返し批判している。けれど、うそも戦争の場合は国を危うくすると強く警告しています(Trump Is Hiding the Truth About the War in Iran. By The Editorial Board. March 21, 2026. The New York Times)。

 たとえば次のような内容です。
「2月28日、イランに対し戦争をはじめた最初の日から、トランプ大統領は虚偽を流している。イランは交渉したがっているといったが、そんな兆候はなかった。イランの軍事力を100%破壊したといったが、イランはペルシャ湾一帯で反撃に出ている。戦争はほとんど終わったというが米軍は戦力を増強している」
 うそをつく行動パターンはいまにはじまったことではない。
「CNNによれば、大統領としての最初の任期中、彼は1日に平均8つのうそをついていた」

 去年6月、イランの核施設を爆撃したとき、トランプ氏はイランの核を「消去した」といったが、イランはいまだに400キロもの核兵器級ウランを保持している。「消去」はうそだった。
 いまや大統領のうそはあたりまえで、ほとんどの人は気にしなくなった。
 とはいえ、戦争についてのうそは深刻だ。戦争で真実かどうかは問題ではないという大統領がいれば、閣僚も軍人も戦況を曲げて伝え国を誤らせる。誤りが犠牲者をうみ、ときに戦争犯罪すらあたりまえの行動様式を生み出してしまう。

 タイムズ紙の社説は大統領のうそを列記し、批判したうえでこういっている。
「戦争に行く兵士や兵士の家族に対し、大統領はなぜこの戦争に行くのか、きちんと説明しなければならない。トランプ氏はうそをつくことで一時的に得をするかもしれないが、そんなものをはるかに上回る損害を、彼自身が、そして国と世界中がこうむることになる」

イラン政権を糾弾する集会(2022年、オランダ)
(米政権は今回の戦争でイランの体制転換を期待したがその兆候はない。Credit: PersianDutchNetwork, Openverse)

 こうした批判を読むにつれ、ぼくの頭のなかに浮かぶのは、この大統領の「軽さ」「いいかげんさ」です。
 ところが、この軽さいいかげんさこそが、アメリカ人の感性をとらえている。
 トランプ大統領の支持率は歴代最低とされるけれど、じゃあ以前の日本の首相のように20%台にまで落ちたかというとそんなことはない。国民の4割はいまなおトランプ支持です。ニューヨークやロサンゼルスのような大都市はともかく、地方に行けばトランプ人気はおとろえていない。
 ため息をつくと同時に、日本もいずれこうなるのかという気がしないでもない。そのなかで生きのびるには、どのような覚悟がいるかを考えます。
(2026年3月23日)