ため息の合間に

 カリフォルニアを買い取ろう。
 ユーモラスな市民運動がデンマークで起きています。カリフォルニアをデンマーク領にしようという買収案に、市民の署名が集まっています(Danes offer to buy California to spite Trump’s Greenland aims: ‘We’ll bring hygge to Hollywood’ 11 Feb 2025. The Guardian)。

 トランプ大統領の「グリーンランドをアメリカの領土に」という宣言への対抗措置です。グリーンランドはデンマークの自治領。それを力づくでも奪い取るというトランプ発言に対し、じゃあデンマークは逆にカリフォルニアを買い取ろうじゃないかと、ネット上で呼びかけがはじまりました。

グリーンランド(デンマーク自治領)

「デンマークに必要なのは何か? さんさんたる日差し、パームツリー、ローラースケート。それを手に入れる絶好のチャンス、トランプからカリフォルニアを買い取ろう」
「デンマーク化」(Denmarkification)という名のこのサイトは、トランプ陣営のスローガン、MAGA(Make America Great Again=アメリカを再び偉大に)をもじって、MCGA(Måke Califørnia Great Ægain=カリフォルニアを再び偉大に)と呼びかけている。

「カリフォルニアに法の支配を、公的健康保険制度を、ウソのない政治を」
 アメリカが失ったものを、デンマーク領になったカリフォルニアで取りもどそうというのですね。カリフォルニア州民だってよろこぶんじゃないか。
「トランプはカリフォルニアが好きじゃないから、買収の可能性は十分にある」
 賛同署名50万人の目標に対し、すでに23万人が署名しているから冗談にしては盛りあがっています。

「買収」の対象、カリフォルニア州(ロサンゼルス)

 トランプ大統領は就任以来、カナダをアメリカの51番目の州にするといったり、パナマ運河やグリーンランドをアメリカの支配下におくといったり、最近はガザまでアメリカ領にするといっている。ガザのパレスチナ人は近隣のエジプトやヨルダンに出てゆけなど、横暴のきわみです。
 そういう横暴に、どう対抗するか。
 笑顔を失って力む相手には、ユーモアで。カリフォルニアを買おうというデンマーク市民のセンスに賛同しましょう。

 グリーンランドは圧倒的多数の住民がトランプ拒否だから、アメリカ領になる見込みはない。けれどアメリカでは、バディ・カーターという下院議員がグリーンランド買収法案をアメリカ議会に提出しています。アメリカ領になったら、グリーンランドを「レッド・ホワイト・アンド・ブルーランド」に改名するそうです。
 ブラック・ユーモアにしても、センスがないですね。
(2025年2月14日)