ガザ援助の曲折

 スウェーデンとカナダが、ガザ難民への支援を再開しました。
 それはいいニュースだと思ったけれど、即座に頭に浮かんだのは「日本はなぜ支援を再開しないのか」です。アメリカが再開しないかぎり、日本もガザ難民への援助を再開しない。自分自身が同調圧力に満ちている国は、国際的な同調圧力にもなびいてしまうってことなのかと思いました(UNRWA: Sweden and Canada resume funding for UN agency for Palestinian refugees. March 9, 2024. BBC)

 ガザへの支援は、国連を通しての支援です。国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)という、長ったらしい名前の国連機関がガザ難民への支援を行っている。ここを通して日本政府は毎年3千万ドル規模の支援をしているらしい。
 その支援を1月28日、停止しました。
 UNRWAの一部職員が、“テロ組織”ハマスに加わっていたためです。一部職員がパレスチナの武装組織ハマスのメンバーとなり、イスラエル市民の殺戮に関与していた疑いが強まった。中立であるべき国連職員がテロ組織に加わっていたら重大問題、ということでアメリカやイギリス、ドイツなど主要国は軒並みこの国連組織、UNRWAへの拠出を停止しましたた。それに日本も同調したのです。

ガザのイスラエル軍(資料映像)
(Credit: IDF, Openverse)

 BBCのニュースは、支援を中止していた国のなかでスウェーデンとカナダが方針を撤回し、再びUNRWAへの資金拠出、つまりガザへの支援を再開した、というものでした。

 たしかにUNRWAには“テロリスト職員”がいたかもしれない。1万3千人もの職員がいる国連組織に、そりゃあ心得ちがいの人もいるでしょう。テロリストが紛れ込むのを完全に止めることはできない。そういうまちがいはあったにしても、ガザでパレスチナ人が餓死しているのを見捨てることはできない。それがUNRWAへの支援を再開したスウェーデンやカナダの感性だったのでしょう。
 この混乱した世界にも、良識ある国は残っている。日本にも多少の良識はあるのかもしれないけれど、それよりアメリカへの追従気分が勝っているのでしょうか。

ガザ地区(2014年)
(Credit: United Nations, Openverse)

 パレスチナ、イスラエル、ガザ、難民。こうした中東のああだこうだは長い長い経過があって、複雑な要素がからみあって、何がなんだかよくわからない。
 そういうぼくが、こういうニュースに、情報に、事態にどう向き合えばいいんだろう。
 いつも考えることです。
 関心はある。でも当事者ではない。そういう人間のかかわり方は、誤解を招きやすいけれど、いいかげん、がいいんじゃないか。いいかげんに関心を持ちつづける。いいかげんだから、関心を失うこともない。いいかげんのなかから、自分自身のこころに浮かびあがる思いを捉えてみる。そこで、アメリカとの関係ももっといいかげんでいいんじゃないかと思ったりもします。 (2024年3月13日)