グリンファティック

 そうか、そういうことだったのかと、膝を打ちました。
 認知症対策でなぜ運動が重要か、やっとわかったのです。
 ニューヨーク・タイムズに「グリンファティック・システム」(glymphatic system)ということばが出てきたので、調べてはじめてわかりました。
 ぼくらの脳のなかにはこのしくみがあり、それが認知症になるのを防いでいるらしい(How Much Do You Know About Brain Health? Jan. 4, 2026. The New York Times)。

 グリンファティック・システム、なんだそれ?
 記事にリンクが貼ってあるので見たら、「Neurochem Res. 2015 May 7」と出てきます。『神経化学研究』という専門誌の2015年5月の論文でしょう。そこにグリンファティック・システムとは何かが書いてある。
 いってみれば、脳内の血管に沿って流通するリンパ液の回路です。このしくみが脳内にできた不要、有害な老廃物を体外に排出する。これがうまく働いていないと、認知症を起こすタウタンパクなどの有害物質が脳にたまり、認知症ほかさまざまな病気が起きる。

アルツハイマー型認知症の原因となる「タウタンパク」
(米国立衛生研究所)

 じつは脳内の老廃物がどうやって排出されるかは、これまでわかっていませんでした。それが2010年代になり、血管に沿った特殊なリンパ液の流通経路があって、そのしくみで排出されることがわかってきた。

 具体的には脳の神経細胞を“介護”するグリア細胞(glial cell)と、リンパ液(lymph fluid)がこのしくみの中心となるので、この二つをつなげてグリンファティック(glymphatic)という新語ができたらしい。日本語ではグリン「パ」ティックが多いけれど、英語の発音はグリン「ファ」ティック、より正確にはグリ「ム」ファティックです。
 呼び方は定着していないけれど、神経学者は10年前からこのことを知っていました。

脳の神経細胞(茶色)を”介護”するグリア細胞(水色)の模式図
(Credit: OpenStax, Openverse)

 でもぼくは知らなかった。
 こんな大事なこと、なんでこれまでだれも教えてくれなかったんだろう。文句いってもしょうがないですね。認知症を気にしているわりに、ぼくが不勉強でした。
 さて、これで認知症対策には脳内リンパ液の流通を活発にすればいいとわかります。それには睡眠と運動が大事だと神経学者はいいます。脳内の老廃物は、寝ているときと運動しているとき、とくに脳の外に排出されやすいので。
 長時間の熟睡はむずかしくても、運動ならある程度はできる。ということで、ぼくは毎日の散歩を寒くてもつづける気になります。

 散歩して身体が温まったら、うん、脳内の血流がよくなっているな、有害タンパクが脳の外に出ているなとイメージできる。単調な散歩にもやる気が出るというものです。
(2026年1月9日)