スマホフリー

 子どものスマホ禁止を、どう進めるか。
 親たちが力を合わせ、子どもをスマホから守ろうという運動があります。たまたま見つけた去年の記事ですが、大事なテーマだと思いました(‘We wanted to change the norm on smartphone use’: grassroots campaigners on a phone-free childhood. By Alex Moshakis. 30 Jun 2024. The Guardian)。

 SFC、「スマホフリーの子」(Smartphone Free Childhood)という運動を進めているのはイギリスの親たちです。

SFC「スマホフリーの子どもたち」サイト

https://www.smartphonefreechildhood.org

 中心となっている2人の母親、デイジー・グリーンウェルさんとクレア・ファニホーさんは2023年当時、8歳と9歳の女の子がいました。友だちがスマホを欲しがっているというので気になり、すでに子どもにスマホを与えた親に聞いてみると、いいことはひとつもなかった。
「スマホが来たら子どもはのめりこみ、家族と話もせず外にも出なくなった」

 イギリスの子どもたちは、11歳になると91%がスマホを持つといいます。グリーンウェルさんたちは、子どもがその歳になっても持たせたくはなかった。ワッツアップというソーシャルメディアで訴えることにしました。
 反響は驚くほど大きく、訴えは1日で1千人に広がったといいます。
「ワッツアップをはじめてわかったのは、みんな途方に暮れていたということです。多くの人が私たちの呼びかけに感謝していました」

 1週間後、賛同者は6万人にふくれ、グリーンウェルさんたちは運動をはじめました。14歳になるまでスマホを持たせない、学校からスマホをなくすといった訴えは、2024年、地域の30の学校に広がったといいます。英議会下院でも、16歳までスマホを持たせないなどの議論がはじまりました。
 とはいえ、「スマホフリーの子」は全国に広がったわけではない。グリーンウェルさんたちはまだまだ運動しなければなりません。

 日本には、SFCのような運動がないようです。スマホが子どもに与える害はどの国でもおなじはずなのに、日本の親たちはこの問題をどう見ているのでしょうか。
 ガーディアンの記事にしばしば出てくるのは、SFCのような主張はほかの親を「判断 judge」するということです。他人の子育てに口出しをする、説教をするのとおなじだという意味でしょうか。そこは気をつけなければならない。
 でも、ことは子どもの脳の問題です。親はもう少し勇気を持っていいと思うけれど、そんなふうにいうこと自体が説教になるのでしょうか。
(2025年6月25日)