北朝鮮軍を確認

 北朝鮮軍3千人がロシアに派遣されたといいます。この部隊はいずれウクライナの戦闘に投入されるかもしれない。
 きわめて深刻な事態とアメリカ政府は見ています(North Korean troops are in Russia, would be ‘legitimate targets’ in Ukraine, U.S. says. October 23, 2024. The Wahington Post)。

 ウクライナに北朝鮮軍がいるという情報はワシントン・ポストが伝え、このブログにも書きました(10月16日)。今回はこれをアメリカ政府が確認しています。
 ジョン・カービー国家安全保障会議報道官は23日ホワイトハウスで、北朝鮮軍の「少なくとも3千人」がロシアに派遣されたとのべました。これら北朝鮮軍は、船でロシアのウラジオストックに渡り、複数のロシア軍訓練場に移動している。
「これは潜在的な危機だ。ウクライナをはじめとする同盟国とともに対応を協議する」

 北朝鮮軍が今後、ウクライナの戦闘に投入されるかどうかはわからない。しかし深刻な事態だとオースティン国防長官も言明しています。
「彼らが交戦国となり、ロシアとともに戦うなら非常に重大な問題であり、ヨーロッパだけでなくインド太平洋地域にも衝撃を与えるだろう」

 韓国情報機関によれば、ロシアに派遣された北朝鮮軍はロシア兵の制服と身分証を与えられ、シベリア地域のロシア軍部隊を装っている。軍事訓練を受けたあと、ロシア軍を側面から支援するのか、それともウクライナとの直接の戦闘に投入されるかはまだわからない。
 一方、北朝鮮軍の一部はすでにウクライナの前線にいるともいわれる。これは実戦部隊ではなく、北朝鮮からロシアに送られたミサイルの使用を指導する部隊でしょう。この部隊にすでに死傷者が出たという情報もあります。

 こうした情報に韓国は緊張している。
 韓国政府はロシアに対し、北朝鮮兵を撤退させるよう求めました。ロシア側はそんな情報はすべてウソだと否定しているけれど、韓国は対抗措置としてウクライナに軍事援助を行うこともあると警告している。

 3千人規模なら、北朝鮮軍が参戦してもウクライナの戦局が大きく変化することはないかもしれない。けれど「もうひとつの国が参戦」となれば、明確なエスカレーションで戦争の様相は変わります。対抗措置として米欧が直接参戦しなくても、武器供与や軍事支援の拡大はありうる。オースティン長官のいう「ヨーロッパだけでなくインド太平洋地域にも衝撃を与える」事態が起きるでしょう。
 北朝鮮軍の派遣は、ロシア軍の弱さを意味するという見方もあります。
 かりにそうだとしても、北朝鮮のおかげで戦争は縮小ではなく拡大に向かいます。
(2024年10月24日)