トランプ大統領の次の決断は、濃縮ウランを確保するかどうかだとニューヨーク・タイムズのデビッド・サンガー記者が書いています(Trump’s Next Decision: Whether to Retrieve Iran’s Nuclear Fuel, Whatever the Risk. By David E. Sanger. March 17, 2026. The New York Times)。
ウランを確保するには、地上軍を派遣しなければならない。つまりアメリカとイランの地上部隊が衝突することになります。
いくらトランプ大統領でも、まさかそこまでしないとぼくはたかをくくっていました。でもサンガー記者がこの話題に触れたということは、ワシントン中枢の深いレベルで懸念があるということでしょう。イラン戦争の見方がまた変わります。

ここ数日、トランプ大統領は戦争の最大の課題について語るようになった。イランが核兵器になる大量の濃縮ウランを持っているけれど、これをどうするかです。
どんなにイランを爆撃しても、濃縮ウランを奪わなければイランはすぐまた核兵器開発をはじめる。濃縮ウランを奪取する作戦を、実行するかどうか。
きわめてむずかしく、危険な作戦とみられる。
高濃度のウランは970ポンド、400キロ以上あり、多数の容器に分散されておそらくイラン中部、イスファハン山間部の地下深くに隠されている。
保管場所がわかればピンポイントで特殊部隊が急襲できるけれど、わからなければ大部隊を送り、手広く捜索するしかありません。

かりに濃縮ウランが見つかったとして、それを破壊するのか、押収するのか。
濃縮ウランは毒性が強く、破壊するのは危険です。また1か所に集めると核反応を起こすかもしれない。米軍にはすでにそのための専門技能をそなえた特殊部隊があるとされます。この部隊は極秘で、存在自体も明らかにされていない。
トランプ大統領は17日も、地上作戦について「何もこわくはない」と発言している。連日この問題についてふれているのは、連日、“あるかもしれないよ”と警告を発しているようなものだとサンガー記者は書いています。どこまで本気かは疑わしいというトーンも併記して。
イランの核問題を20年以上追いつづけ、トランプ大統領とサシで話ができるナンバーワン・ジャーナリストの記事は、淡々としているだけに真に迫っている。
日本から見ると、イランに地上部隊を送るなんてありえない無謀な戦略です。けれどアメリカ国内でこの問題を間近に見つづけている記者の目には、ここ数日、「ひょっとして、あるかも」と見えるようになっているのでしょう。
(2026年3月20日)
