イラン問題は、空爆だけで解決できない。
イラン問題とはイランの核開発のことです。
イランが持つ濃縮ウランを手に入れるためには、地上部隊を派遣するしかない。けれど、それだけはトランプ大統領もできない。だとすれば、いくら爆撃をつづけても問題は解決されないと、ニューヨーク・タイムズで安全保障問題を担当するW.J.ヘニガン記者らが書いています(There Is One Crucial Reason We’re Talking About Boots on the Ground. March 7, 2026. The New York Times)。

議論の起点は、イランがいまなお高濃縮ウランを保有していることです。
「スキューバ・ダイビングで使うタンクのような容器が18から20個あり、それぞれ25キロの濃縮ウランが入っている」
トランプ大統領は去年6月の爆撃でイランの核施設を完全に破壊したと述べたけれど、そんなことはない。イランはいまなお高濃縮ウランを大量に保有し、国内のどこかに隠している。
アメリカ議会で最近、イランの核について非公開の説明会がありました。それを聞いた民主党のビル・フォスター議員は、イランが持つ濃縮ウランはすでに核爆弾を作れるレベルに達しているといいます。
「イランには核を搭載できるミサイルがないが、核を使う手段はミサイルだけではない」
核兵器のウランは90%の濃度が必要とされる。イランのウランは60%にまで濃縮されているが、この濃度でも広島型原爆は作れる。つまりイランは、粗雑ではあるけれどすぐ「核兵器」になるウランを持っている。戦争が終われば、最終的な開発にとりかかるだろう。核こそが、政権維持の生命線と信じているから。

そうさせないためには、イラン国内のどこかに隠してある高濃縮ウランを探しだし、回収しなければならない。それには地上部隊を投入するしかない。けれどいまのアメリカは、イランだろうがどこだろうが、地上部隊を派遣できない。世論の反対が強すぎるから。
だったら、なんでこんな戦争をはじめたのか。
ヘニガン記者らはいいます。
「トランプがこの戦争でもっとも無責任なのは、イランの核を最終的にどうするか、明確な筋道をまったく描かずにはじめたことだ」
指導者を殺害すればイランの政権は変わる、問題を解決できると考えたのなら、おろかとしかいいようがない。
問題は何も解決されていない。これからも解決できない。
その間、イラン市民は恐怖政治と無責任な爆撃という二重の災禍に圧迫されつづけます。
(2026年3月11日)
