きのうは久しぶりに気分がよかった。
ニューヨーク市長選挙で、34歳のゾラン・マムダニ候補が快勝したからです。ニュージャージーとバージニアの2州でも、知事選で民主党が勝っている。選挙民がトランプ「王」に明確な「否」を表明したのです。
マムダニ候補はさっそく、新市政への「移行準備チーム」を発表しました。メンバー5人は全員女性です(Zohran Mamdani announces all-female transition team as he prepares for New York mayoralty. 5 Nov 2025. The Guardian)。
5人の顔ぶれは以下のとおり。

(写真はいずれも「Zohran for NYC」サイトから)
1)グレース・ボニラ。世界最大級の慈善団体ユナイテッド・ウェイ会長。
2)リナ・カーン。FTC(連邦取引委員会)前委員長。
3)マリア・トレス=スプリンガー。前ニューヨーク市第一副市長。
4)メラニー・ハーツォグ。非営利のニューヨーク財団会長。元副市長。
5)エラナ・レオポルド。移行準備チームのリーダー。マムダニ陣営の選挙参謀で元ニューヨーク市幹部職員。
全員が女性、しかもニューヨーク市の元幹部とならんで、リナ・カーンさんのような元連邦政府の閣僚級幹部も参加している。

たまたまそうなったのではない。これは意図的でしょう。
多様性を否定し、敵味方を憎悪と恐怖で分断するトランプとはちがう。自分はマッチョで白人男性中心の保守右翼から遠く離れている。だから移行チームは全員女性にしたと、マムダニさんはいいたのでしょう。
敵を攻撃するのではない。自分はこのようにあるという「たたずまい」を表現している。それが「全員女性」です。
高度な政治センス、34歳の感覚。
イスラムへのヘイトが激しいアメリカで、イスラム教徒マムダニさんへの攻撃は日を追って激化しました。SNSにはイスラム嫌悪の投稿があふれ、トランプ大統領は「マムダニ当選」なら連邦政府の補助は打ち切るとくり返し宣言した。2018年に市民権をとったマムダニさんの市民権を剥奪しろと、複数の共和党国会議員が訴えています。
けれど彼を支持する若者たちは雪だるまのようにふくれあがり、10万を超す選挙ボランティアが勝利を呼びこみました。
ウガンダ生まれのインド系が、アメリカ最大の都市で首長に選ばれる。
トランプの国でも、夢はまだ消えていないと思えました。
(2025年11月7日)
