極右の台頭は一時的な現象にすぎない。民主主義をつらぬこうという寄稿がありました。
一見、退屈な主張です。
でも、これを書いたクリスティア・フリーランドさんはカナダの元副首相、外相、財務相です。いまはウクライナにいて大統領の経済顧問を務めている。そういう人の寄稿は、ちゃんと読まなければなりません(The Great Capitulation Is Over. What Will Take Its Place? By Chrystia Freeland. Feb. 25, 2026. The New York Times)。

(ハーバード大学政治学研究所サイトから)
フリーランドさんはジャーナリスト出身だけに、筆致はわかりやすい。
まずタイトルが目を引きます。
「大降伏は終わった」
大降伏とは、自由で多様な社会を求める人びとが世界中で保守極右に降伏したという意味です。外国人や移民の排斥が「ニューノーマル」、それが現実とだれもがあきらめている。
そんな降伏はもうやめよう。
保守右翼の伸長を、歴史的な地殻変動と見るべきではないとフリーランドさんはいいます。
「じつは生活経済の問題こそが重要なのだ。有権者は民主主義を捨てたわけではない。2024年の選挙についてフィナンシャル・タイムズはいった。現職の墓場だと」
過去2年の選挙で顕著だったのは、有権者は自分たちの生活を守れない政治家を、保守だろうがリベラルだろうが落選させるということだった。
リベラルが否定されたわけではない。
アメリカでも新しい民主党の州知事が当選し、ニューヨークに革新的なマムダニ市長が登場している。ミネソタ州では暴力的な移民取り締まりに抗議する何万もの市民が街頭に出て、トランプ政権を押しもどした。国際的に見てもイギリスや韓国で保守は後退し、インドでモディ政権が議会選挙で後退している。

あきらめるべきではないとフリーランドさんはいいます。
「まず大降伏にノーといおう。自信を持って選挙に勝とう。経済発展と、その恩恵を社会にいきわたらせること。これはきわめて困難な課題だが、極右のように外国人を排斥し、女性蔑視の全体主義を進めることは断じてその答えではない」
フリーランドさんは、全体主義と戦うためにウクライナにいる。
「ウクライナは生きのび、5年目を迎えている。これは民主主義はまだ勝てるということだ。私はカナダを離れ、いまは無償でウクライナ大統領の経済顧問を務めているが、それはウクライナの成功はすべての民主主義の生存に欠かすことができないと信じるからだ」
あきらめてはいけない。そう思わせてくれる寄稿でした。
(2026年3月6日)
