人間の脳内には、ペットボトルのキャップ5個分のプラスチックがたまっている。
こんなショッキングな記事をニューヨーク・タイムズが伝えました。ニューメキシコ大学のマシュー・キャンペン博士らの研究です(What Are Microplastics Doing to Our Bodies? This Lab Is Racing to Find Out. April 8, 2025. The New York Times)。
微小プラスチックによる環境染はすでにいろいろ聞いている。水道水も農作物も、あらゆるものに微小プラスチックは含まれる。それらが人間の体内に入っていることも、ぼくらは知っています。でも脳内に「キャップ5個分」ものプラスチックがあると聞くと、「そんなに? ほんとかな」と思う。
同時に、そら恐ろしい。
頭のなかでプラキャップがごろごろ転がっている。

このショッキングな記事の続報を、アグラワル記者が伝えました。どんな危険を意味するかは、まだよくわかっていないと(What Experts Want You to Know About Microplastics. By Nina Agrawal. May 20, 2025. The New York Times)。
微小プラスチックは、5ミリ以下の大きさのプラスチックをさします。
5ミリだったら、かりに食べても排泄されるでしょう。常識的にみて害はほとんどない。問題はそれよりずっと小さな、ナノプラスチックと呼ばれる微小プラです。これがいまや地球上のあらゆる場所に広がっている。エベレスト山にも、マリアナ海溝にも。もちろんほとんどの水道水にも食べ物、人体内にも。
ナノレベルの微小プラは、呼吸や消化をとおして血中に浸透し、肝臓や脳に蓄積される。
ニューメキシコ大学の研究者は、人間の脳内プラスチック量は2016年にくらべ、2024年には50%も増えているといいます。それは何を意味するのか。

いまの時点ではまだよくわからない。
とはいえ、生殖機能が障害されるという動物実験もあるし、PFASのようにすでに有害性がわかっているものもある。微小プラはできるだけとらないほうがいい。
そのために、プラスチックのボトルからは水を飲まない。ことに太陽光にさらされたプラボトルは避ける。食べ物をプラ容器ごと加熱しない。超加工食品を避け、化学繊維の衣服は着る前に洗濯する、空気清浄機を使うなど、対策がないわけではない。
そうしたところで、どれだけ実効性があるかどうかはわからないけれど。
とりあえず、使い捨てのプラスチック食器をやめるなど、できる対策を進めるしかありません。
その間に、科学者に微小プラの研究を進めてもらいましょう。本格的な対策があるかどうかはわからないけれど。
(2025年5月30日)