ことしのあっと驚くような出来事はなんだろうか?
ワシントン・ポストのデビッド・イグネシアス記者がクイズを出しています。半分冗談の遊びですが、安全保障問題の重鎮ジャーナリストがトランプ大統領の登場する世界をどう見ているかが想像できました(What strange things does 2025 have in store? Take my quiz to find out. By David Ignatius. December 27, 2024. The Washington Post)。
予測ゲームのナンバーワンは、当然ながらウクライナです。
ロシアとの戦争がどうなるか、イグネシアス記者は読者に6つの選択肢を示しました。
なかには「ロシアが開戦前の戦線まで後退する」など、誰が見ても無理という予測があります。でも「英仏の部隊がウクライナに安全保障の名目で駐留する」とか、「ゼレンスキー大統領が国内の反乱で失脚する」など、もしかしたらあるかもというシナリオも並んでいました。
そのなかで、サプライズがあるとしてもこんなところかとイグネシアス記者が指摘したのは、「正式な合意がないままに双方が停戦する」でした。
なるほど、イグネシアス記者は停戦があるかもしれないと見ているんですね。
ということは、トランプ大統領の調停、ないしは介入を予想するのだろうか、それでプーチン大統領の顔がつぶれなければ停戦もあるかもしれない。そういうふうにイグネシアス記者は読んでいるんだなとぼくは読みました。彼の見方は、おそらく日本にいるどんな記者や専門家より信頼できると思いながら。
ウクライナ以外にもちろん中東情勢や台湾危機など、メジャーなテーマがことしのサプライズ予測に並んでいます。
ちょっと意外だったのはAIの動向でした。イグネシアス記者は、もしかしたらありうる事態として、中国の巨大企業アリババのAI「クウェン」が、アメリカの企業、オープンAI社の「チャットGPT」やグーグル社の「ジェミニ」に勝つかも、といっている。
ほんとかな。でも何か根拠があっていっているにちがいない。安全保障という観点から、ぼくらの知らない中国をイグネシアス記者は知っているでしょうから。
笑ってしまったのは北朝鮮の動向です。
「金正恩総書記とトランプ大統領がシンガポールで会談し、核開発を規制する協定を結ぶ」
これは冗談の要素が強い。
目立ちたがりの二人です。はなばなしくショーを演出する、でも中身はないというのが、前回のシンガポール会談でした。またおなじことがくり返されるというより、新年の予測という遊びにひっかけてイグネシアス記者はいいたかったのでしょう。もうそういうむだなことはするなと。
(2025年1月1日)