アメリカとウクライナの会談が決裂。
ウクライナはもうだめかと思う。その反面で、事態を少しでも把握すべきだという気持ちも残っています。
ニューヨーク・タイムスの解説を読み、状況はますます悪いけれど、ウクライナは終わりではないと思いました(Trump’s Dressing Down of Zelensky Plays Into Putin’s War Aims. March 1, 2025. The New York Times)。
トランプのしていることは醜悪です。
侵略者プーチンにすりより、ゼレンスキーを独裁者とののしる。ウクライナの天然資源をよこせと戦乱のドサクサで要求し、安全保障はどうなるのかと反論するゼレンスキーに怒って、会談の場から追い出してしまった。
外交なんてもんじゃない、ゴロツキの脅しです。

トランプは去年、自分が大統領になったらウクライナの戦争は1日で終わらせると豪語しました。
プーチンを懐柔し、ゼレンスキーを脅せば朝飯前と思ったのでしょう。ところがプーチンはともかく、ゼレンスキーは思いどおりにいかない。それでぶち切れてしまった。
いちばんよろこんでいるのはプーチンです。事態は自分の思いどおり。 西側の結束なんてかんたんに崩壊する。それが現実のものになった。
とはいえ、トランプとプーチンのあいだには大きな亀裂があるのではないか。
トランプは、自分が口をきけばプーチンはよろこんで停戦すると見ていた。けれど老獪なプーチンはトランプに合わせながら、延々と戦争をつづける魂胆です。弱ったウクライナからさらに多くの領土を奪い、ウクライナをこの地上から消し去ってしまう。ロシア国内では、数か月でウクライナは崩壊するという希望的観測も出てきました。

しかしウクライナとアメリカの関係は完全に壊れたわけではない。ヨーロッパ各国はゼレンスキー支持で結束している。
ホワイトハウスでの会談決裂は、ロシアにとっては歓迎すべきニュースだけれど、戦争が長びけばプーチンだって経済の停滞や戦死者の増加は無視できない。サンクトペテルブルクの大学教授は、ロシアは自分の思いどおりの形で戦争を終わらせたいけれど、今回の会談の決裂でその見通しが開けたわけではないとニューヨーク・タイムスに語っています。
ウクライナの勝利は見えないけれど、ロシアの道筋もかんたんではない。
ひとごとではあるけれど、関心を失いたくはありません。
梅が散るのを見ながら、ぼくはまたウクライナの支援先を探します。
(2025年3月3日)