ずっと、おとなの脳細胞は増えないと思っていました。
ところが、おとなでも脳細胞は増えるという研究があります。
脳細胞が増えるなら、そのメカニズムを使って認知症の治療が進むかもしれない。一瞬希望をいだくけれど、はたして脳の神経細胞は増やせるのか(Super-Agers’ Brains Have a Special Ability, New Study Suggests. Feb. 25, 2026. The New York Times)。
世界トップの科学誌「ネイチャー」に載った研究です。
研究を主導したノースウェスタン大学のタマー・ゲフェン教授らは、脳の中枢部にある「海馬」とよばれる部位を研究してきました。
海馬は記憶や学習に重要な役割をになっていますが、ここには脳神経のもととなる未分化の脳細胞もあります。「ベビー脳細胞」ともよばれるこれらの細胞は、正常に発達すれば脳の神経細胞になる。

このベビー脳細胞が、特定の人にたくさん存在する。
特定の人とは、「スーパーエイジャー」と呼ばれるグループです。彼らは高齢になっても、記憶力や認知力がおとろえない。80歳で50歳の脳力を維持している。そういうスーパーな高齢者がぼくらの社会にはごく一部存在するけれど、彼らの海馬にはベビー脳細胞がきわめて多いそうです。
同年齢の高齢者にくらべ、スーパーエイジャーにはベビー脳細胞が2倍、アルツハイマー型認知症の人にくらべれば2.5倍もある。ゲフェン教授はいいます。
「これは、脳は年をとっても柔軟だという生物学的な証拠だ」
脳は変わる、ベビー脳細胞が成長して脳細胞が増えるということでしょう。

脳は、年とともに老化します。
老化にはさまざまな要因があるけれど、有害タンパクが蓄積され脳細胞が死滅することが大きい。今回の研究は、脳細胞が死滅しても新しい脳細胞が生まれれば、人間の脳力は維持されると思わせてくれます。
ところが、ここは脳科学者が激しく論争している分野らしい。
おとなの、高齢者の脳細胞が増えるなんてことがあるのか。
乳幼児の脳細胞は増えるけれど、おとなの脳細胞は増えないというのが長年の常識でした。ベビー脳細胞というものがあるとしても、それが成長して脳細胞が増えるかどうかは、まだ結論が出ていないようです。
ぼくもスーパーエイジャーになりたい。でもそれはオリンピック選手になりたいというのとおなじことなんでしょうね。
(2026年2月27日)
