自閉症女子

 自閉症はこれまで、男子に多く女子に少ないといわれていました。
 しかし、おとなになると男女ほぼおなじ比率になるそうです(Autistic girls much less likely to be diagnosed, study says. 4 Feb 2026. The Guardian)。

 自閉症といっても自閉症スペクトラム症(障害)のことで、かつてのアスペルガー症候群もふくまれます。
 この自閉症について、スウェーデンのカロリンスカ研究所が大規模な追跡調査を行いました。1985年から2020年にかけて生まれた270万人を調べたところ、その2.8%が自閉症と診断されています。診断時期は2歳から37歳でした。

 自閉症は男子に多いといわれてきたけれど、今回の研究でも子どもについては一部この傾向があてはまります。男子が自閉症と診断される平均年齢は13.1歳だったのに対し、女子は15.9歳、約3歳の差があったからです。
 10歳以下の場合、自閉症と診断される男子は女子にくらべて3倍から4倍も多くなる。それが年齢が上がるにつれ女子の診断が増え、20歳になるころには男女ほぼおなじ率になります。

 研究を主導したカロリンスカ研究所のカロリーヌ・フィーフ博士は、「女性や女の子は自閉症と診断されることが少なかったり、診断される時期が遅れるようだが、自閉症分布のジェンダー差はこれまで考えられていたよりも少ないことがわかった」といいます。「なぜ女子の場合は診断が遅れるのか、研究する必要がある」

 イギリス自閉症協会の研究部にいるジュディス・ブラウン博士はいいます。
「自閉症の診断にジェンダー・ギャップがあってはならない。女の子の“仮面”は以前から知られていたことだから」
 女の子は男の子にくらべ、仮面をかぶって演技するのが上手なので自閉症と診断されにくい。けれど正しい診断がなければ適切な治療を受けられないし、不安やうつになったり、仮面をかぶりつづけて疲弊するかもしれない。専門家は自閉症を男女の別なく、またほかの精神疾患と誤診ぜず、見きわめなければならないといいます。

 かつて自閉症は、重度自閉症のことでした。いまの自閉症スペクトラム症は格段に広い範囲の、ちょっと「個性的な人」まで含む概念です。診断は容易ではないし、子どもの診断は社会的な偏見のせいでジェンダー・ギャップが生まれるのかもしれない。
 自閉症をめぐる概念はいまなおゆれ動いています。けれどそれは精神医学が混乱してるからではなく、現実に適応しようとしているからだと思いたい。
(2026年2月18日)