SUVへの風当たり

 年寄りが寝言いうんじゃないと、若者に怒られそうです。
 でもぼくはいいたい。
 SUV、スポーツ・ユーティリティ・ビークルと呼ばれるタイプの車はやめてほしい、減らしてほしい、せめて環境税のような形で税金を高くしてほしい。乗りたい人は乗ればいいけど、SUVは環境を壊し気候危機を進めていることを自覚してほしいと思います。
 スコットランドのエジンバラ市で、SUVのような車の広告を制限する条例が可決されたと聞き、あらためてそう思いました(This city just made it illegal to advertise SUVs. Here’s why. June 15, 2024. The Washington Post)。

 エジンバラ市の決定は、市の施設内では「化石燃料の広告を禁止する」というものです。
 具体的な例としてあげられているのが、1)航空会社と空港、2)化石燃料会社、3)自動車、4)クルーズ船での休日の4項目でした。
 このうち自動車については、「電気自動車や水素燃料自動車は除く、ただしSUVは含まない」となっています。SUVは電気だろうがガソリンだろうが、エジンバラ市の公共の場で宣伝してはならないといっている。SUVはガソリンを浪費する車の代表のように、名前をあげられていました。

 SUVと呼ばれるタイプの車は、世界的に人気があります。
 いまやどのメーカーもSUVは製品ラインナップの中心らしい。もともとは荒野、オフロード用のはずが、いまはみんな都市で乗り回すようになりました。普通乗用車でもいいところを、カッコいいから、強そうで威勢がいいからとSUVを選ぶ。そのSUVは、強くて大きくて重たい分、たいへんなガソリンを使います。

 このSUVを規制しようという動きが、さまざまな形ではじまっています。
 去年11月18日の朝日新聞デジタルによれば、パリのアンヌ・イダルゴ市長はSUVを「環境を汚染する大型車」として市内での利用を制限することにしました。その後の報道では、ことしになって市長の提案は住民投票で可決され、SUVの駐車料金は3倍にあげられるそうです。
 またイギリスの広告規制団体ASA(広告基準協議会)は去年、トヨタのSUVの広告が「環境への影響を無視した運転を容認している」と、表示の禁止を発表しています(テレビ朝日ニュース23年11月24日)。

 SUV禁止、制限の動きがただちに広がるということはないでしょう。ワシントン・ポスト報道の要点は、エジンバラ市のように広告を禁止する動きがつづけば、やがてそれは消費者に浸透するだろうということでした。タバコを制限する動きが何十年もかけて広がり、効果を発揮したように、SUVに象徴されるガソリンの浪費も時間をかけて規制を広げることになる、流れはその方向だということのようです。
(2024年6月21日)