16歳以下の子どもに、すべてのソーシャルメディアを禁止する。
こんな法律がオーストラリアで審議されています。子どものソーシャルメディア、SNSは、禁止する年齢が13歳以下だったり、親の許可があれば認めるといった部分規制が中心でした。全面禁止のオーストラリアは、世界の最先端を行くことになります(Australia Moves to Ban Young Teens From Social Media. Nov. 7, 2024. The New York Times)。
オーストラリアのアルバニージー首相が7日、記者会見で明らかにしました。
「ソーシャルメディアが子どもの害になっている。私は何千人もの親や祖父母、おとなたちと話をしたが、彼らも私も子どもの安全に不安を持っている」
このため、16歳以下の子どもにすべてのソーシャルメディアを禁止する。
親の許可があっても認めない、一律禁止です。ただ、違反しても罰則はないというから、実効性より啓発の意味が強いかもしれない。
ネットは、子どもでも賢く使えば役に立ちます。けれどソーシャルメディアにかぎれば成長途上の子どもに有害という見方が専門家のあいだでは強まっています。
ニューヨーク・タイムズのコラムニスト、ブライアン・チェンさんは、多くの専門家への取材からソーシャルメディアはしばしば「孤立」をもたらすといいます(Brian X. Chen . Nov. 10, 2024. The New York Times)。
「つながる」はずのソーシャルメディアがなぜ「孤立」になるのか。
それは子どもや若者は、ソーシャルメディアで他人と自分を「くらべてしまう」からです。くらべることじたいは自然な本性だけれど、それがソーシャルメディア、ことに子どものあいだだと不自然な形になる。対面でのコミュニケーションとちがって、ソーシャルメディアの「自分」は本来の自分ではないからです。よく見せよう、人気が出るようにしよう、おもしろい、かわいいと思ってもらおうとする。
そういう形で他人と自分を比較する、そのくり返し。
対面でのコミュニケーションはなくなり、子どもたちは不安やうつをかかえ、孤立します。
ある大学生のいったことばが強く印象に残りました。
「ぼくら、人に話しかけるって文化がもうないんだ」
大学では、スマホを見ている人に声なんかかけたら迷惑になる。冗談だろといいたくなるけれど、ただの冗談でもない。
おとなはそれを現実として受け止め、適応しなければならない。けれど子どもにそんなことをさせたくはありません。
子どものソーシャルメディア規制、アルバニージー首相に「いいね」です。
(2024年11月15日)