ターキーの焼き方

 また焼いてみたい。でももう無理かな。
 ターキー、七面鳥です。むかしは青山の紀ノ国屋で冷凍ターキーを買いました。横浜に住むようになってからは成城石井で。その後店頭販売がなくなり、ネットで注文したターキーはひどい品質になったので焼くのをやめました。体力がなくなったせいもあるけれど。
 いまでも感謝祭やクリスマスが近づくとターキーはなつかしい。そのターキーの、最近の焼き方を知って感心しました(The Secret to the Best Turkey Came From a Reader. Nov. 19, 2024. The New York Times)。

 いちばん驚いたのは、ターキーに3日前に塩をすりこむことです。
 子どものころ、母親がよくターキーを焼いてくれたけれど、そんなことはしていなかった。その後ニューヨーク・タイムズのクックブックを見ながら自分でもターキーを焼くようになったたけれど(むかしはクックパッドなんてなかったから)、3日も前に塩をすりこむなんてどこにも書いてなかった。

 ニューヨーク・タイムズの料理欄担当、エリック・キムさんは、これまで何十回もターキーを焼いた経験から、塩をすりこんで2,3日置いておくといいといいます。肉の旨味が出て、かつジューシーな焼き上がりになる。
 これは理屈にかなっています。肉類は何でも、塩につけると味がよくなる。魚でも味がいいのは生より塩鮭。でも、塩をすりこむのは焼く30分前と思ったら、なんと3日前。急ぐ場合は1日でもいいけれど、時間をおくと断然味がちがう。おまけに3日かけると塩分で肉の組織が変わり、肉汁が保たれる。ジューシーな焼きあがりになります。

筆者が焼いたターキー(2010年代)

 そうかあ。そういうことだったらもういっぺん試してみたい。
 と思う一方で、はたと気がつきます。あの大きいターキーを3日も冷蔵庫に入れておくなんてできない。アメリカにいるときは7、8キロのターキーをよく焼いたけれど、あんなのは日本の冷蔵庫からあふれてしまう。
 日本向けの、チキンみたいに小さなターキーだったら可能だろうか。
 キムさんが勧めるようにたっぷり香料をまぶし、シシトウだのピーマン、パプリカなどをいっぱいターキーのまわりに入れて焼く。きっと香ばしいだろう。

 ターキーで最高なのは、養殖ではなく天然物です。一度だけ天然の「ワイルド・ターキー」を焼いたけれど、あれは感激だった。天然ターキーを3日前から準備して焼いたら、それ以上の味になるのだろうか。
 というふうに、いまのぼくは「エア・ターキー」を楽しんでいます。
(2024年11月22日)