食品アレルギーは予防できる。
アメリカでほぼ実証されました。
画期的です。日本ではまだあまり広がっていないようだけれど、これから新生児を育てる人はこのことを知っておくべきでしょう(Peanut Allergies Have Plummeted in Children, Study Shows. Oct. 20, 2025. The New York Times)。
食品アレルギーが減っていると発表したのは、フィラデルフィア小児病院のデビッド・ヒル博士でした。
博士は全米50か所の小児病院の12万5千人の患者を調査し、アメリカの子どもの食物アレルギーが36%減っていること、ピーナツ・アレルギーにかぎってみれば43%減少していることを明らかにしています。

背景には、2017年にアメリカで出された勧告がありました。
米国立アレルギー研究所の勧告は、食品アレルギーの対策として乳児にアレルゲン、アレルギーを起こす原因物質を投与すべきだといっている。
ピーナツだったら、ピーナツバターのような形でわずかな量を乳児に食べさせる。卵も、スクランブルエッグなどの形で少量与える。それを週に数回くりかえせば、ピーナツや卵のアレルギーは激減する。
かつてアメリカ小児学会は、生後3歳までの子どもにピーナツを与えるべきではないと勧告していました。けれどそれでピーナツ・アレルギーが減ることはなかった。
ピーナツを食べなければいいという考え方は何かがおかしい。そう考えたイギリスの科学者が2015年、乳児の段階ではむしろアレルゲンを与える方法を試みています。すると乳児はアレルゲンを「有害物質」ではなく「栄養分」とみて取り入れ、食品アレルギーは激減する。

イギリスの研究を受け、米国立アレルギー研究所がアレルゲンを「与えない」のではなく、「与える」べきだと勧告したのは2017年です。勧告は4年後に改定され、アレルゲンを与える時期は生後4か月から6か月とされました。アメリカの子どもの食品アレルギーはその後明らかに減ったと、今回の調査で判明しています。
食物アレルギーがなぜ起こるか、原因はよくわかっていません。
けれど鋭敏な科学者は、乳児の免疫がおとなとはまったくちがうことに気づいています。
そのひとりが医科歯科大学の藤田紘一郎教授でした。『アレルギーの9割は腸で治る!』などの著書があります。ぼくは藤田教授のファンで、清潔すぎる環境を問題とする免疫観にはとても影響を受けました。乳児にアレルゲンを与えるなんてあたりまえじゃないかと、泉下の教授はいまごろ笑っているでしょう。
(2025年12月15日)
