ぼくらはアルゴリズムにあやつられている。
専門家が警告しています。世界トップの大学のひとつ、UCL(ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン)の専門家がいうんだから、ちゃんと耳を傾けたいと思いました(No bickering around the Christmas tree! If your family are trapped by their algorithms, here’s the way out. By Kaitlyn Regehr. 24 Dec 2025. The Guardian)。
警告を発しているのはUCLの准教授、ケイトリン・リガー博士です。
博士は、ぼくらはみな「フィルター・バブル」にひたっているという。ネットの情報はことごとくフィルターにかけられているという意味です。

リガー博士の議論をぼくなりに変換すると以下のようになる。
ぼくらは自分でネットを使い、自由に情報をえていると思っている。けれどそれはすべてフィルターにかけられ、加工された情報だ。ネットはぼくがだれで、どんな趣味や好みか、社会的、政治的、経済的にどんな状況にいるかリアルタイムで把握し、そういうぼくに合わせた情報を送ってくる。
だからぼくが見ているネットはぼく専用で、ほかの人とはちがう。いまやインターネットは、ユーザーの数だけちがうものがあるともいえる。
それはアルゴリズムのせいだと、リガー博士はいいます。
「私たちがSNSやネットに使う時間、ネットでえる情報は、すべて広告主が与えてくれるものだ。これは“アルゴリズムの経済”ともいわれる。私はアルゴリズム経済がいかにニセ情報や有害情報をとりこみ、成功してきたかを研究してきた」
ニセ情報は、本物の情報より刺激的です。有害な情報はぼくらを心配させ、あるいは興奮させ、より長時間ネットにしばりつける。そうしてぼくらをネットに引きつけ、依存させるアルゴリズムは、広告者の金で維持されている。

リガー博士の指摘は新しいものではありません。
すでにだれかがどこかで論じてきたこと。でも、インターネットは「ユーザーの数だけ存在する」といわれると、いまのネットはそこまでパーソナライズされているのか、ぼくらはそこまで深く巧妙な搾取の対象になっているのかと考えこんでしまう。
だからネットやSNSをやめろというのではない。
博士は、そういうしくみがあると認識することがまず大事だといっている。
その認識をできるだけ多くの人と共有すること。考え、話し合うこと。そうすることでアルゴリズム経済を変えようと呼びかけています。
(2025年12月26日)
