移民とともに暮らそう。こんな投稿がニューヨーク・タイムズに載りました。
投稿者は、スペインの首相です。
絶望のアメリカにくらべ、スペインはなんとまっとうで希望ある社会になっていることか(I’m the Prime Minister of Spain. This Is Why the West Needs Migrants. By Pedro Sánchez. Feb. 4, 2026. The New York Times)。

(Credit: European Parliament, Openverse)
ペドロ・サンチェス首相の率いるスペイン政府は先月、国内にいる50万人の「違法移民」全員を合法化しました。
彼らのスペイン滞在を認め、一定の条件つきではあるけれど滞在許可は更新される。「合法化」された移民は、スペイン市民とおなじように教育や医療などの社会保障を受けることができます。もちろん税金を払い社会に貢献することもできる。
なぜそうするのか。それはスペインがかつては「移住者の国」だったからだとサンチェス首相はいいます。
自分たちの祖父母や親は、1950年代から60年代、よりよい未来を夢見てアメリカや西欧各国に移住した。2008年の経済危機でもそうだった。しかしスペイン経済が復興し、流れは逆転している。国外から多くの人がスペインに来るようになった。彼らを、かつて国外に移住したスペインの同胞が移住先に期待したのとおなじように、寛容に歓迎しよう。それがわれわれの義務でもある。

移民の受け入れは、自分たちの社会を維持するためでもある。
「AIもロボットも、少なくとも短中期的には、急激な人口の減少という社会変動への解決にはならない。もっとも現実的な選択肢は、移民に可能なかぎりスムーズにわれわれの社会にとけこんでもらうことだ」
それは国民の声だといいます。カトリック教会をはじめ900以上の市民団体が移民の受け入れを求め、世論調査では3分の2近くがこれに賛成している。
サンチェス首相は、スペインは移民問題をもっとも迅速に、かんたんに解決する方法を選んだと胸を張ります。
「他国のリーダーのなかには、移民を法に反する残酷な方法で狩り集め、国外に追放するものがいる。しかし私の政府はそうではない」
投稿は、移民を公権力で暴力的に排除し、これに反対する市民を問答無用で銃殺するトランプ政権への強烈な当てこすりにもなっている。
トランプをおそれず、こびへつらうことなく、移民とともに暮らそうと堂々と言い張る指導者がいることに、なんだか胸のすく思いがします。
(2026年2月6日)
