後世の史家は、トランプを「もっとも愚かな大統領」とふり返るにちがいない。
ハーバードやコロンビアなど、有名大学への執拗な攻撃は常軌を逸している。知性、学問や科学の否定というより、これはもう嫌悪です。
そういう政権が、地球温暖化を否定する「おともだち科学者」の起用をはじめました。子どもたち、孫たちの将来はどうなるのしょうか(Trump Hires Scientists Who Doubt the Consensus on Climate Change. July 8, 2025. The New York Times)。

ニューヨーク・タイムズが入手した内部文書によれば、トランプ政権はこのほど3人の温暖化“懐疑学者”をエネルギー省に雇用しています。
元ニューヨーク大学の物理学者スティーブン・クーニン、アラバマ大学の気候学者ジョン・クリスティ、おなじくロイ・スペンサーの3氏で、いずれもクリス・ライト・エネルギー省長官の友人や知り合いです。
クーニン博士は石油大手、BP社にいたことがあり、気候温暖化は人間の活動も関係しているが、その程度は一般に思われているほどではないと、現在主流の温暖化論に批判的です。
アラバマ大学の研究者であるスペンサー博士は、温暖化は自然変動の範囲内といい、共同研究者のクリスティ博士も、現在主流の気候変動モデルを批判しています。

3氏の起用に、ペンシルベニア大学のマイケル・マン博士は警鐘を鳴らしています。
「これが意味するのは、化石燃料によって地球温暖化が危険な方向に進んでいるという、大多数の科学者の合意を政権が認めようとしないことだ」
「大多数の科学者の合意」は、かつてエネルギー省がまとめた「2009年基本文書」にもまとめられている。この基本文書を否定するために、3人の「おともだち科学者」は雇われたのではないか。
ややこしいのは、3人はひと握りの少数派にすぎないとはいえ、一応科学界のメンバーだということです。科学の異端派が、虎の威、強権政治の力を借りて、多数派をねじ伏せようとしている。
それだけだったら、トランプ政権のアホらしさですむ。アメリカの有権者は、激しくなる一方の熱暑や天災は「自然変動の範囲内」とうそぶいていればいい。けれど、ことはアメリカ一国の問題ではありません。
トランプ政権のおかげで、地球温暖化は危機ラインを超えるでしょう。
反科学、反知性主義の道づれになりたくはない。けれどその流れは、「財務省解体デモ」のような形で、ぼくらの足元でも広がっています。炎暑の夏を、少しでも涼しくする手立てはないものでしょうか。
(2025年7月28日)