ウォルツの発音は、壁、ウォール(wall)のウォ。ワルツのワじゃありません。
ニューヨーク・タイムズがこんなふうに解説していました。
カマラ・ハリス大統領候補の相棒として指名された、ティム・ウォルツ副大統領候補の発音です。
ワ、か、ウォ、か。アメリカ人も迷うと知りました。日本人も、たとえば「佐伯」は「さえき」になったり「さいき」になったりする。混乱しないよう、発音まで解説するのはそれだけウォルツさんの注目度が高いということでしょう(Introducing Coach Walz: Five Takeaways from Philadelphia. Aug. 6, 2024. The New York Times)。
日本のメディアは、朝日、毎日、NHKなど、ほとんどがワルツ。でも読売はウォルツ。おもしろいのはBBCの日本語サイトで、ここはウォルズです。フォーマルな場では「ズ」かもしれないけれど、アメリカのメディアを聞くかぎりみな「ツ」です。英語はカタカナで正確に表記できるものではないけれど。
ウォルツさんは60歳。元高校の社会科教師で、下院議員からミネソタ州知事になりました。農業フェアで子豚を抱きあげる姿が、本人のイメージをよく伝えています。
6日、副大統領候補としてはじめて聴衆の前に立ったウォルツさんは、ハリスさんに感謝し、開口一番こういいました。
「ありがとう。また楽しくなってきた」
こんどの大統領選挙は、刺激的になったとコラムニストのチャールズ・ブローさんはいっています(Harris, Walz and Democrats’ Joyful Campaign. Aug. 7, 2024. By Charles M. Blow. The New York Times)。
・・・バイデンが身を引き、民主党がハリスのまわりに集結し、新しい可能性を見出している。戦うべき相手と、戦うべき目標がはっきりした・・・
バイデン大統領のもとで、民主党は守りの戦いだった。それが攻めの戦いになっている。
・・・熱狂は感染する。民主党は熱狂している。それがウォルツの登場でさらに広がった。彼は陽気なよきオヤジ、兵隊、フットボール・コーチ、そしてただの人だ。気のいい白人オヤジには、選挙民を変える力がある・・・
このコラムを読んで、こんどの選挙がどう様変わりしたかがよくわかった気になりました。
熱狂は伝染する。だからなんの関係もないぼくまでもが引きつけられる。
それが、「また楽しくなってきた」というウォルツさんのことばの意味でした。
彼は、これはハリスのもたらす高揚とトランプの暗いビジョンとの戦いだという。
よその国のことだけど、当分楽しめそうです。
(2024年8月9日)