孤食が増えると社会の分断が進む。
アメリカ人はますます孤食が多くなった。だからポピュリズムが強まり、トランプのような大統領が出てきたのだという説明がありました。興味深い観察です(Americans Are Unhappier Than Ever. Solo Dining May Be a Sign. March 20, 2025. The New York Times)
これは「世界幸福度調査」で指摘されました。
国連がギャラップ社とともに実施する世界幸福度調査は先週、2025年の報告を発表しています。
ことしもまた、幸福度1位の国はフィンランドでした。8年連続のトップです。そう聞けば、ああ、いつものあの調査かと思うけれど、ニューヨーク・タイムズには新しい視点がありました。アメリカ人が幸福でないのは、孤食が影響しているというのです。

世界幸福度ランキングで、アメリカはことし24位、2012年の11位からずっと低下しています。
幸福度調査は、多くの調査項目のなかで「きのう誰と食事したか」を調べますが、アメリカでは丸1日、誰ともいっしょに食事をしなかったという人が4人に1人もいました。13年前にくらべ、5割も増えている。
食事を誰とともにするか、しないかは幸福度と密接に関係する。調査を行ったオクスフォード大学のJ・デネヴ教授は、孤食は孤立と社会の分断を進めるといいます。
「孤立すればするほど、他人と話し合うことが少なくなる。誰かといっしょにすわって話をすれば、自分とはちがう考えがあるとわかり、考えを見直すこともあるだろう。孤立した人は自分の思いがぐるぐるまわって過激になるだけだ」
孤立し、自分を不幸だと思う人が社会への反感を強める。そのような人びとがトランプ大統領を生み出すと教授は指摘します。

そうか。トランプは孤食から生まれたのか。
孤食原因説にはリアリティがある。もちろんそれだけが原因ではないことはよくわかっているけれど、十分ありうる話だと思ってしまいます。
自由な国アメリカで、「おれは自由だ」と胸を張る人は、容易に「助けてくれ」とはいえなくなる。助けてくれという他者の声も聞こえない。「偉大」でマッチョな社会は、人間の弱さを無視することで社会の弱さを進めてしまった。
とはいえ、日本の幸福度は世界55位。アメリカよりずっと低い。これはこれで、別の病理があるにちがいない。
(2025年3月24日)