分断が進んでいる。
政治的な分断だけでなく、経済的な分断も進んでいます。
いまの経済は、ひとにぎりの金持ちが活発な消費を進めているから維持されているにすぎない。貧乏人の貧乏は変わらず、格差は広がるだけでなく、より強く固定化されているのではないか(Wealthy Americans Are Spending. People With Less Are Struggling. Oct. 19, 2025. The New York Times)。
アメリカではいま、所得が上位10%の富裕層が個人消費の半分を支出しているそうです。これは1980年以来もっとも高い比率だとムーディーズ社がいっています。
1割の金持ちが活発な消費を進めているから経済は維持されている。企業はますますこれらひとにぎりの富裕層を対象とするようになりました。

ディズニーランドが格差料金を導入し、金持ちは優先的にアトラクションを楽しめるようになったことをこのブログでも書きました(9月3日)。10万円払えば、1時間の待ち時間なしで「カリブの海賊船」に乗れる。それだけの追加料金をよろこんで払う富裕層がたくさんいるから、いまのディスニーは成り立っている。
おなじように、航空会社も差別料金、差別待遇を強化しています。ファーストクラスや特別席を拡大する「金持ち優遇ビジネス」が、業績を左右するようになりました。
金持ちの積極的な消費の背景には、空前の株高があります。代表的な株価指数であるS&P500は過去最高を更新しつづけ、富裕層の支出が活発になり、それがさらなる株高に結びついている。バブルともいわれるけれど、いまのところバブルが破裂する予兆はない。富裕層は好況を謳歌しているかのようです。
けれど、社会全体は好況ではない。
大都市の低所得層が住む地域では、フードパントリー、無料の食料配布にならぶ人の列が、トランプ政権の支援が切られてからますます長くなっています。低所得層のふところはさらに厳しく、じわりと上昇する失業率で雇用不安も増している。

何かがおかしいという感覚を覚えます。
かつては世の中が好況になれば、貧乏人もそれなりに恩恵に預かっていた。いまの世の中はそうではありません。格差は広がるだけでなく、固定され、むしろ強化されている。
どうすればいいのか。
大きな状況を、上からというより足元から、地域から変えることを考えるべきではないか。そのために「コモン」という発想があることをあちこちで聞きます。コモン、共同体、協働。そういったことをどうやって進めればいいか、近ごろおりにふれ考えています。
(2025年10月24日)
