先日も北海道で、新聞配達員がヒグマに殺される悲劇がありました。クマによる人身被害は増えているけれど、対策の決め手はなかなかみつからない
困ったものだけれど、こうすればいいかも、という方法がありました。
熊犬、クマイヌです。
イヌでクマを追い払う。
むかしからアジアでは知られていたこの方法を、アメリカのモンタナ州で試したら驚くほど効果があったそうです(Grizzlies Were Raiding Montana Farms. Then Came Some Formidable Dogs. July 22, 2025. The New York Times)。

モンタナ州中部の農家、アーレンスさんは、かつてクマなど見たことがなかったけれど、2020年になって1週間に4回も目撃しました。グリズリーと呼ばれる、大型で危険なクマです。このグリズリーが、各地でひんぱんに出現するようになった。
あぶない、なんとかならないかという声が、野生動物局の元職員、ウェズリー・サーメントさんに寄せられるようになりました。
サーメントさんは、ある一軒の農家にクマが近寄らなくなったことに気づきます。犬がいたからです。それも、たまたま子どもが拾ってきたイヌが牧羊犬だったから。サーメントさんは環境学者と相談し、イヌでクマを追い払う「クマイヌ」方式を試すことにしました。そのために導入されたのは、カンガル犬という、トルコ産の大型犬です。

(Credit: Chris vT, Openverse)
効果はてきめんでした。
カンガル犬がいる農場はクマの出現率が90%減り、付近の監視カメラが捉えるクマの映像も極端に減りました。クマイヌ作戦は大成功、農家のベッカーさんはいいます。
「イヌのおかげで、自分たちもクマもともに助かった」
カンガル犬は、大きいとはいえクマとまともに戦うことはできない。でもクマと対決して吠えつづけ、敏捷だから殺されることもない。クマは「うるさいなあ、しょうがない、ほかに行くか」となるのでしょう。だれも犠牲にならず、平和は守られる。
アメリカでも、開拓時代はイヌでクマを追い払うという知恵があったようです。それがいま学び直されているということでしょう。
日本でもまねすればいいのに。でもカンガルのような80キロにもなる大型犬は、運動量が多すぎて日本の住宅地で飼うことはできない。無理かなと思う一方で、日本にはマタギのクマイヌという伝統もあったことを思い起こします。大型でなくても、クマ払いに役立つ犬はいるかもしれない。だれか研究してくれないでしょうか。
(2025年7月25日)