AIのミトス・補

 ミトスは、4年前にオープンAI社が「チャットGPT」を公開したとき以来の衝撃的なAIらしい。
 チャットGPTとは次元のちがう飛躍がある。そんな感じがして、ぼくはニューヨーク・タイムズの関連記事を見ています。

アンソロピック社「クロード・シリーズ」のロゴ
(「ミトス」はクロード・シリーズの最新版)

 前回記事の補正があります。
 アンソロピック社の最新AIを「ミトス」といったけれど、正式名は「クロード・ミトス・プレビュー」(Claude Mythos Preview)です。
 クロードはアンソロピック社がすでに公開しているAIシリーズの名称で、いまは「クロード・オーパス」がチャットGPTのように広く使われている。そのシリーズの最新版が「クロード・ミトス」で、ミトスというよりクロードの最新版というべきかもしれません。

 クロード・ミトスは従来のクロードより格段に能力が高い。悪用されれば世界のデジタル・システムが崩壊しかねないと、非公開になりました。
 グーグルと並ぶブラウザー、「ファイア・フォックス」の開発者であるラフィ・クリコリアンさんは、ミトスはデジタルのあり方を変えるといいます(It’s the End of the Internet as We Know It. By Raffi Krikorian. April 15, 2026. The New York Times)。

 彼によれば、デジタル世界はこれまであやうい均衡のもとにあった。
 不完全なプログラムと、不完全な運営者が維持する不完全な世界だった。だからハッカーが暗躍し、被害があとをたたなかった。
 それがミトスで一変する。
 ミトスは、あらゆるデジタル・システムの欠陥をさがしだす力がある。
 ミトスや、ミトスに相当する他のAIが効果的に使われれば、インターネットは格段に安全になるでしょう。ハッカーはほとんど活躍できなくなる。

 そうなる前に、しかし相当な混乱が起きるかもしれない。
 ミトスとおなじようなAIは、6か月から1年半で他社も開発できるといいます。悪意のある国や犯罪集団がそれを手に入れたら、標的として攻撃されたシステムは止まり、あるいは誤作動を起こす。社会経済、インフラや安全保障に大混乱が起きかねません。

 これを防ぐために、アンソロピックはアマゾンやグーグル、アップルなどとともに「グラスウィング」というプロジェクトを立ちあげました。「世界の死活を制するAI」を保護するために、巨大テック企業がこぞって連携するというわけです。
 頼もしそうな話だけれど、現実は薄氷を踏みながら進むようなものかもしれない。
(2026年4月17日)