監視カメラの監視

 町中に監視カメラが増えています。
 犯罪対策ならばしかたがない。しかしそうでないケースもある。アメリカでは監視カメラを規制する自治体があちこちに出てきました。
 監視カメラを監視する市民団体、FFF(Fight for the Future)のリーダー、エバン・グリアさんがオピニオン欄に寄稿しています(Why People Are Sabotaging Flock Surveillance Cameras. By Evan Greer. Sept. 18, 2026. The New York Times)。

 グリアさんによれば、マサチューセッツ州ボストン近郊のホプキントンという町が最近、監視カメラの利用をやめました。近隣の十数か所の町村もこれにならって監視カメラの利用をやめたそうです。
 監視カメラは、大手企業フロック・セイフティ社の監視システムの一部でした。その利用をやめた自治体は、全国で350以上にのぼります。

監視カメラを止めたホプキントン町のリゾート地
(Credit: NewtonCourt, Openverse)

 フロック社の監視カメラは、アメリカ全土に数万台が設置されている。多くが車のナンバーを読み取れるので、不審車両を監視するという名目で警察や企業が利用してきました。
 けれど監視カメラはつねに目的どおりに使われているわけではありません。
 テキサス州では、妊娠中絶をする女性を追跡するために、警察が州内にある8万3千台の監視カメラを調べたと報道されています。「不倫監視」に使われたと疑われる例もあり、「目的外使用」に多くの市民が疑念を抱くようになりました。

(Credit: futureatlas.com, Openverse)

 監視カメラは不法移民対策にも使われています。これに反対する「デフロック」という市民グループがあり、彼らはホームセンターの駐車場に設置されたフロック社の監視カメラが移民の監視に使われていると抗議し、撤去させたりしています。
 いつのまにか、日常のいろいろな場面に監視テクノロジーが入りこんでいる。それに対する不安は保守、リベラルに共通しており、共和党の下院議員が監視システムに連邦予算を支出しないよう求める法律も提案しました。

 市民の健全な常識が生きているのでしょう。
 監視カメラは、犯罪対策や安全のためならやむをえない。けれどそれ以外の使用は厳しく制限されるべきです。警察が監視カメラを悪用したら、市民の権利と自由は奪われる。そうならないよう、徹底した透明性がもとめられます。
 その感覚があるからこそ、アメリカの各地で反対の動きが起きているのでしょう。
 ただし、いまの社会は監視カメラなしでは成立しない。どこまでの監視を許すのかは、技術の進歩とともにつねに議論しつづけなければなりません。
 いま起きている反対運動は、そうした議論の手始めだと思います。
(2026年10月19日)