マスクは、コロナには何の効果もない。してもしなくても、おなじことだ。
こんなレポートが出て、関連業界がざわめいています。
最初にこれを見たときには、なにかのまちがいじゃないかと思いました。「マスクはいらない」なんて意見が、なぜリベラルの牙城であるニューヨーク・タイムズに出ているのか。
しかもそういっているのは著名なコラムニスト、ブレット・スティーブンスさんです。彼の主張の根拠は、イギリスの「コクラン・レビュー」という、科学技術分野ではきわめて質の高い専門誌の論文でした。いったいこれは何なんだと目をむいてしまいます(The Mask Mandates Did Nothing. Will Any Lessons Be Learned? Feb. 21, 2023. By Bret Stephens. The New York Times)。
スティーブンスさんはいいます。
「コロナをふくむ呼吸器系の病気を防ぐために、マスクが有効かどうかを調べたもっとも徹底して包括的な分析が先月刊行された。分析を主張したオクスフォード大学の疫学者、トム・ジェファーソンによれば、結論は明白だ・・・彼はそれ(マスク)が役に立つ証拠は、何もないと断定している」
これにはスティーブンスさん自身も驚いたようです。
ちょっと待ってくださいよ、それ、マスクはN95でないとダメってこと? といったら、どんなマスクでもおなじだという。
政府や研究機関や専門家の誰もが、ずっとマスクしろっていってたのは何なんですか。
そんなの関係ない、してもしなくても感染は広がったと論文はいっている。
これ、何かのジョークかと思ったら、れっきとした科学論文が根拠です。以下のサイトに掲載されていました。https://www.cochranelibrary.com/cdsr/doi/10.1002/14651858.CD006207.pub6/full
れっきとした疫学者の論文です。マスクと呼吸器系感染症について、世界中でこれまでに発表された研究をまとめた、いわゆる「メタ論文」でした。これを掲載した「コクラン・レポート」も、厚労省のサイトに「質の高いシステマティック・レビュー」と紹介されているように、十分に信頼できる専門誌です。決していいかげんなものではない。
日本の行政や医療、科学に携わるみなさんがこれをどう読んだか、ぼくはぜひ知りたいと思っています。
サイエンスの世界で、パラダイムを変えるような発想はしばしばイギリスから出てくる。みんながマスクは有効と信じているときに、ひとり、ちがうと主張する。これはパラダイムの変換なのか、それとも凡百の妄言のひとつか。真相が知りたい。
(2023年2月23日)